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北斗side
"勤務中に何回か発作起きたみたいで、退勤前にネブライザーさせてる。Aが心配だからって帰ったけど、きょもの方も心配だから、様子見てやって…"
勤務中に来ていた樹からのメッセージ。
昼休み、家に帰ってみればお目当ての人の姿がない代わりに、今にも泣き出しそうなAがいた。
高地の足がキッチンに向かったのを見て、俺は2階へあがる。
コンコン
「京本ー?調子どう?」
「ごめん、開けるよ?」
一向に返事が聞こえないドアを開けると、予想通り荒い呼吸を繰り返しながら吸入器を握る京本がいた。
ーんっ…ゲホッゲホ、ほくっ…
「吸入できた?…ん、貸して。力抜いて〜せーので吸うぞ、せーのっ…うまいうまい、もう一回な…」
ベッドに腰掛けさせて、前屈みで俺にもたれさせる。
苦しさからか、胸元を握りしめていた手をそっと解いてやれば、ふわふわと彷徨うそれ。
少し照れくさいけど、自分の手を差し出せば控えめに、でも力強くきゅっと握られた。
京本「ふぅー。A、は?ッゲホゲホゲホ…ごめっ」
「Aには高地がついてるから。それより、自分の状況わかってる…?(苦笑)」
京本「はっ…ゴホ、や、ばいね…んん゛…」
2回吸入したにもかかわらず、未だに激しく咳込む様子を見て、そろそろ高地を呼んだ方がいいかもしれない…と考える。
「ちょっと、一回下降りよう。ん、背中乗って。」
いつもなら絶対ありえないシチュエーションだけど、素直に身を預けてくるくらいには自分でも厳しい状況だと理解しているんだろうな。
耳元で聞こえる喘鳴に少しだけ焦りながら、落ちないように落とさないように、慎重に階段を下りた。
「「あ…」」
リビングに入った途端に見えたのは、激しく咳込むAを抱き上げた高地で…。
お互いに抱えている喘息患者を見て、苦笑い。
高地「ネブライザーしたけど、ダメ…。すぐルート取って点滴入れたい。」
北斗「こっちも退勤前にネブライザーしてる上に、さっきも2吸入してコレ。向こうで診てやって…。」
クリニックについてからは、あっという間で。
高地の指示で、Aに点滴挿れて酸素マスクも追加でつける。
朝もこんなだったな…と、毎年のことながら、苦しむ姿を見るのは辛い。
隣の処置室を覗けば、同じように点滴に酸素マスク姿の京本がいて。
せめて2人がゆっくり眠れるように、今は神様にでも頼むしかないのかもしれない。
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きなり(プロフ) - こころさん» 嬉しいコメントありがとうございます…!!こうして言葉で伝えてくださると、とても励みになります^^楽しんでいただけるように、頑張ります。今後もよろしくお願いします! (2021年9月14日 22時) (レス) id: d102b3716c (このIDを非表示/違反報告)
こころ - いつも楽しく読ませてもらっています!毎日更新されるのが楽しみです。これからも更新頑張ってください! (2021年9月13日 21時) (レス) id: b96a3cc535 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなり | 作成日時:2021年8月28日 23時