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玄関のドアを開ける前に深呼吸。
よし…。
「ただいまー！」
ーおかえり〜！
北斗「体調どうだった？きつくない？」
「だいじょうぶ！ひーくんがベッド貸してくれて、ちょっと寝たし。大ちゃんがね、お弁当買ってくれて〜なまえと恭平と一緒に食べたんだー！」
京本「そっか！楽しかったならよかった…！」
「うん！じゃあ着替えてきまーす！」
自分の部屋に入って、いつもは閉めない鍵をかける。
ｶﾁｬﾝって音と一緒に、元気なAは一旦休憩。
ふぅ…
樹くんが運転する車の中でずっと考えてた。
みんなが守ってくれる心地いい空間に、いつまでもいちゃいけないって。
甘えちゃいけないって。
私が悲しむから、すぐ泣くから。
"かわいそう"だから。
ママと約束した、強くなるために。
"外の世界"に踏み出す勇気を。
.
森本「Aお腹いっぱいなんじゃない？慎ちゃん食べよっか？」
「だめ〜！美味しいからゆっくり食べてんの！慎ちゃんはこーちの食べなよ〜」
高地「はぁ？なんでだよ！でもホントに、お腹いっぱいなら残していいからな？」
「んぅ。じゃあこれは食べる、から、こっちは慎ちゃんあげる…」
さんきゅー！って、私が10分かけても食べられなかった量をひと口で食べられて、少し落ち込んだ。
ソファーに座って食後のコーヒーを飲むほくちゃんの横で夜のピークフローと吸入を済ませる。
最近どう？って記録ノートをパラパラめくられたからそっと離れて水を飲みにきたんだけど…
パリンｯ！
副作用で震える手は上手くコップを掴めなかった。
ーAっ！？
みんなの声にハッとして、咄嗟に破片を拾う。
いっっ！
北斗「破片触んなよ！って…遅かったか。」
バタバタと走ってきたほくちゃんは、私の手から流れる血を見て顔を歪めた。
森本「ここ片付けるから、Aあっち連れてってあげて！」
ほうきとちりとりを持った慎ちゃんとたいちゃんがキッチンに入ってきて、私の手にタオルを当てて。
いつのまにかソファーの前には救急箱とこーちと樹くん。
意外と傷が深くって、結局クリニックで縫うことになった時は、流石に強がりも消えてかわるがわるみんなに抱きついて泣いた。
3針縫った右手の人差し指は、強くなる決意をした私を嘲笑うかのように痛んだ。
濡らさないようにって、シャンプーもドライヤーも、お皿洗いも洗濯もさせてもらえなかったけど。
こういう時は甘えていいんだよって言われてるようで少し気が楽になった。
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きなり(プロフ) - こころさん» 嬉しいコメントありがとうございます…！！こうして言葉で伝えてくださると、とても励みになります＾＾楽しんでいただけるように、頑張ります。今後もよろしくお願いします！ (2021年9月14日 22時) (
レス) id: d102b3716c (このIDを非表示/違反報告)
こころ - いつも楽しく読ませてもらっています！毎日更新されるのが楽しみです。これからも更新頑張ってください！ (2021年9月13日 21時) (レス) id: b96a3cc535 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなり | 作成日時：2021年8月28日 23時
