5 ページ33
あの後、いつのまにか寝ていた私が再び目覚めたのは夕方だった。
いつの間にか点滴が外れていて、"起きたらナースコールね"のメモ。
ポチっと押すと、すぐに開いたカーテン。松島さんだ。
聡「ふふ。安心した顔してる。僕で嬉しかった〜？」
デレデレの笑顔で聞いてくるから、なんとなく否定すると「えー！なんでー？」ってうるさい。失敗した。
「松島さん、やだ」
聡「も〜素直じゃないんだからぁ！あとその松島さんってゆーのもやめない？聡ちゃんって呼んでよ〜」
にこにこしながら、お熱測って〜腕ちょっとしまるよ〜ってテキパキ仕事する姿がおもしろくって、笑ってしまった。
聡「はい、おしまい。どうする？このままお家帰る？」
「…ジェシーのとこ、いく。」
聡「はーい！じゃあゆっくり起きて、靴はここね。」
朝と変わらない姿のジェシー。
それでも、リズム良く鳴る音が、おれは生きてるよって伝えてくれる。この空間にも少し慣れてきて、椅子に座ってジェシーを見守った。
深澤「あ！まだいた！」
「ふっかせんせーだ。」
深澤「はーい、ふっかせんせーですよ。あのね、俺なりにAちゃんに必要そうな支援をまとめてみたので、明日良かったらお話させてくれないかな？Aちゃんがこれから、ジェシーくんとどうやって生きていくのが1番なのか、一緒に考えてみない？」
今日初めて会ったとは思えないくらいに、優しくて。ひーくんと同じ笑顔に泣きそうになった。
深澤「あと。ご両親のことなんだけど、日程が早まって明日の午後には病院から出ることになりました。Aちゃんの他に葬儀に参加される方がいないってことだったから、明日の夜には火葬まで終わると思う…。大丈夫…？」
「そうですか…。うん、大丈夫です。ご迷惑おかけしてすみません。ありがとうございます。」
ん、無理すんなよ？って、頭をわしゃわしゃ。
面会時間も終わりだから…と、ふっか先生とICUを出ようとした時、聡ちゃんに呼び止められた。
聡「Aちゃん！遅くなっちゃったけど、これ、搬送されてきた時にジェシー君が身につけてたもの…です。」
ボロボロの洋服に赤く染まった帽子。ジェシーお気に入りのおさるのショルダーバッグは私がプレゼントしたもの。それと、ぐしゃぐしゃの紙…？
聡「それ、ここに搬送されてきた時からずっと握ってたんだよね。ヒーロー、たすけてって、最後まで離さなかった。大切なものだと思って、触ってない。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 527人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うる(プロフ) - はじめまして。この小説が大好きで、涙が止まらなくて、最新話まで1日で読み切りました。読み返したいと思う程でまた最初から読み返しています。これからも作者様の書く小説がゆっくりでも更新されるのを楽しみにしています。素敵なお話をありがとうございます！！ (2021年10月5日 16時) (
レス) @page17 id: 40a0db498e (このIDを非表示/違反報告)
きなり(プロフ) - みーちょんさん» はじめまして。嬉しいお言葉ありがとうございます！わっしょい！(笑)続きもよろしくお願いしますー！ (2021年9月23日 10時) (レス) id: d102b3716c (このIDを非表示/違反報告)
みーちょん(プロフ) - 初めまして！題名に目を惹かれて読み始めましたがもつ涙が止まりません！素敵なお話ありがとうございます。そして倒れるとか苦しいのとかわっしょい！！といいますか…あの看病される系のお話大好きなので嬉しいです(語彙力)続きも読んできます！ (2021年9月22日 3時) (レス) @page46 id: 61a5c2e382 (このIDを非表示/違反報告)
きなり(プロフ) - シヤさん» はじめまして。コメントありがとうございます(泣)シヤさんの言葉に泣きそうです…！！ご期待に添えるよう、ただいま続編制作中です！しばらくお待ちくださいねー！ (2021年8月15日 8時) (レス) id: 3cf7c41044 (このIDを非表示/違反報告)
シヤ(プロフ) - まじで涙出てきました深夜に1人で号泣してます、、笑 続編楽しみにしてますね！作者様のペースで体調に気をつけて頑張ってください応援してます、！ (2021年8月15日 3時) (レス) id: 3e44318467 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きなり | 作成日時：2021年7月28日 0時
