*･ﾟ*･ﾟアイドル好きで何が悪い*･ﾟ*･ﾟ

33回目の誕生日 ページ33

雑誌で見かけてからずっと気になっていたフレンチレストラン。
壁紙も照明もカントリーな雰囲気で、若者にも人気だと書いてあった。

いつか来てみたいなって思っていたけれど、なかなかその機会がなくて。
今回は私がお店を決めて欲しいとユノさんに提案された時から、一択でここにしようと決めていた。

実際に来てみて思ったのは、雑誌で見た通りの可愛いお店だということ。
かしこまりすぎない雰囲気が、私の好感度を更に上げていく。


｢可愛いお店ね。折角の誕生日に、相手が私なのが残念だろうけど」

予約していた席に座るや否や、アカリに鋭い指摘をされた。



｢ありがとね。アカリが来てくれて助かりました」

｢そう言ってもらえると、来た甲斐があります｣


ふふって笑いながら、メニューを開く。


本当はコースもリサーチ済みだけれど、相手がアカリだから、気取らずに好きなものを注文した。



「でも、こんな日に残業になっちゃうなんてユノさんもがっかりしているんじゃない？」

「うーん、どうかな。フレンチに行きましょうって事は伝えてあったけど、今日が私の誕生日だって事は知らないしね」

「えっ、言ってないの？どうしてよ。伝えていたら無理してでも来てくれたかもしれないのに」

「だから言わなかったの」


だって、私と違って、ユノさんのお仕事は本当にいつも忙しそうで。
そんな中、時間を作って私と会ったり電話をかけてくれたりしているんだろうなって思ったら、何だか申し訳ないような気持ちにもなって。

そもそも、33歳の誕生日なんて、お祝して欲しいほどめでたいとも思えないし。

何より、まだ知り合って間もないユノさんに、誕生日を伝える事が、プレゼントを強要しているみたいに思えて嫌だったのもあり……。



私の気持ちを察したのか、それ以上深く追求してこなかったアカリが

｢ま、とにかく。誕生日おめでとう」

そう言って、グラスワインを掲げてくれた。

深い話→←知れば知るほど

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す