*･ﾟ*･ﾟアイドル好きで何が悪い*･ﾟ*･ﾟ

恋して失恋して ページ17

｢じゃあ…｣って、ペコッと頭を下げて帰ろうとしたら

｢Aさん｣

チャンミンくんに呼び止められた。



｢もうすぐですね｣

｢何がですか？｣

｢あれです。婚活パーティー…？｣

｢あぁ。今週の土曜日です｣

｢楽しみですか？｣

｢まぁ、多少は。でも、あまり期待はしていません。目黒淳くんみたいな人はいないと思うから｣


冗談を言うみたいに笑ってみたら、ふっ、と口元を緩ませたチャンミンくんが、優しく微笑んだ。



｢良い人がいるといいですね｣



ズキン。


｢そうですね｣




気付くと私の後ろに会計待ちのお客さんが並んでいて、｢じゃあ、また来ます｣って、出来るだけの笑顔で背を向けて、お店を出た。



冷たい風を受けながら、シクシクする胸をぎゅっと押さえる。





｢……これは、ダメなやつだ｣




私、この胸の痛みを知っている。

何が推しの恋愛発覚だ。
何が疑似恋愛だ。


「完全にやっちゃってるじゃん……」



こんなはずじゃなかったのに。



｢……いやいや、どーすんのよ、これ……｣



元カレと別れてからずっと、『好き』という感情は全て推しに捧げて来たと言うのに。

寄りにもよって、あんなに可愛い彼女がいる人を好きになるなんて。



｢バッカだなぁ、私……｣



告白もしていないけど。
なんなら、自分の気持ちも今はっきり分かったばかりだけど。



始まったばかりの恋が

今、強制終了した。

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