君とは違う【skt】

17.見えない ページ18

Aside


あの後、少し雑談をしてから俺たちは帰ることにした

そして一ノ瀬と2人きりになるということに、ついさっき気づいた

そ「ねえ」

『あ？』

そ「明日って勉強できる？」

『……あ？』

なんだ、結構協力してくれるのか。結構嬉しいし、警戒心が少し薄れた

『明日は無理だな、17時からバイト』

そ「何曜日バイトとか教えて」

『大体水、土、日』

そ「なんか遊べそうな日ばっかじゃね?」

『俺の勝手だろ』

学校終わるの早い日にバイト入れて、家に帰るの遅らせてるから当然だろ


時間はまだ20時。

俺は近所のコンビニで雑誌を読んだり、怪しまれない程度に公園でさっき彼方に教えられたことを復習していた

少し肌寒くなって腕時計を見ると23時過ぎになっている

このくらいならいいだろう

俺は明かりの点いていない家に帰り、玄関をそーっと開けた

玄関は電気が消えていたが、リビングはまだついてないかと警戒しながら家に入る

全ての光が消えているのを見て、ほっと溜息を付いた

一応自分の部屋とされている場所に入り、制服から黒のパーカーに着替える

そして、朝は5時に起きて、また制服に着替え、家を出る

高校に上がってから約1年半。俺はずっとこの生活だ

あいつらに会わないようにするため

バイトした金で飯食って、たまにコインランドリーで服洗って……

高校生がこんな生活なんて笑えるよな……トイレでも行くか


たまーに考えることがある

もっと普通に生まれてればよかった

もっと人から好かれるような性格が良かった

でも今となっては割り切ってしまっている

大体のことは仕方ないで終わらせる

正直言ってこの性格は良いときも悪いときもある

先程のように割り切るとあまり絶望することもない

だが俺は割り切りすぎているんだ

誰かが亡くなっても泣けない。誰かが苦しんでいても同情すらできない

自分のことだって、何もわからない


……今日は嫌な日だな。あいつの部屋行くしかねえのか


--------------------------------------------------------------
評価20票ありがとうございました！

18.違和感→←16.理解できなくても

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す