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第4話 ページ4

第4話



A「…紅茶も、お好きなんですか」



「え…あ、はい
どちらかというとコーヒーの方がよく飲みますが」



まさかの再会に驚いて
見つめ合ったまま止まってしまった時を動かしたのは
私の言葉だった

滑るように自然に
私は彼に話しかけていて
彼も当たり前のように返してくれた



「ここで茶葉をよく買われるのですか?」



A「はい、ここお気に入りで…」



「…奇遇ですね、私もです」



A「本当ですね…」



奇遇が過ぎる

毎朝同じパン屋で同じものを買うだけでも
それなりに珍しい事なはずなのに

お気に入りの茶葉屋さんも一緒で
同じタイミングで足を運ぶなんて



「まさかとは思いますが、
向かいの喫茶店に入ったことは?」



A「あ…それは、無いです
紅茶が美味しそうで気になってはいましたが」



「…私も、気になっていただけで入ったことはなかった」



どうしてここまで思考回路が似てるんだろう?


だけど、今考えていることは
きっと違うだろうな

私は…



「よかったら、今から一緒に入ってみませんか」



A「…はい、是非」



またしても同じことを、考えていた



.
.
.



そのまま彼のオススメだという茶葉を
彼は自然な流れでプレゼントしてくれた

スマートな、大人な男性

今まであまり接したことのないタイプ…
やっぱり悟とは対象的な人だ


喫茶店に入り席に着くなり、
彼は「七海建人と申します」と丁寧に自己紹介をしてくれたので

私も同じように丁寧に返して


…そこからは、驚く程会話が弾んだ


頼んでいたパスタやデザートは
全て食べ尽くしてしまっても
私達の時間は終わらない

もう紅茶さえ飲み切ってしまったけれど

それを口にしたら
この時間が終わってしまう気がして

私は気付かないフリをしていた



A「七海さん、コーヒーを飲む時はやはりブラックですか?」



七海「…Aさんは違うのですか」




A「いえ、私もブラックで飲むのが1番好きなのですが、

すごい疲れが溜まったり
嫌なことがあったりした時は

角砂糖を敢えて一つ入れるんです

そうすると普段苦くて当たり前のものが
甘くなって

なんだか特別感があるというか、
ご褒美をもらった感じがするんです」



七海「…なるほど。いつかやってみます」



不意に微笑んだ七海さんに
私が何も言えなくなった時

店員さんから「そろそろ閉店のお時間ですので」
と声をかけられて

私達は目を合わせて小さく笑い合った

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 七海建人   
作品ジャンル:恋愛
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葉月 - 五条さんの作品の中で一番好きです、、。最初五条の印象あまり良くなかったのに五条サイドになった瞬間切なすぎて素晴らしすぎました。思わず涙です。いろんな作品で色んな五条さんありますがこの物語の五条さんの性格好きすぎます。素敵な作品を有難う御座います! (2022年4月11日 0時) (レス) @page30 id: 8ba78d6b9a (このIDを非表示/違反報告)
とみこ(プロフ) - 紅葉さん» 最後まで読んでくださりありがとうございます( ; ; )コメントもとても嬉しいです( ; ; ) (2021年6月15日 17時) (レス) id: 8851a66c99 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 最終話が七海さん目線なの泣いちゃう(´;Д;`) 完結おめでとうございます! (2021年6月14日 22時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
とみこ(プロフ) - hachiさん» いつも読んでくださりありがとうございます!そしてご指摘頂きありがとうございます( ; ; )ずっと暇だと思っていた上、間違った意味で覚えていました…めちゃくちゃお恥ずかしい…泣 大変助かります!本当ありがとうございます(´;ω;`) (2021年6月14日 15時) (レス) id: 8851a66c99 (このIDを非表示/違反報告)
hachi(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいています!第27話なんですが「とりつく島もない」の入力ミスでは?また、謝罪や頼みを聞き入れず冷たくあしらわれることを言うので、誤用かと思います。指摘不要でしたらすみません(><;)創作頑張ってください! (2021年6月14日 11時) (レス) id: 96eaeb6d2d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とみこ | 作成日時:2021年1月22日 0時

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