三月、自宅にて ページ28
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そわそわと部屋の中をうろついていると、ベッドの上に転がっていたスマホが鳴った。
びくりと心臓が跳ねる。急いでベッドに飛び乗りディスプレイを確認すると、先日新たに連絡先に追加された " 北信介 " の文字。
その文字に見とれて危うく電話を取り逃すところだった。急いで通話ボタンを押して その声を聞き逃すまいと耳に近付ける。
『もっ、しもし』
"「ふは、なんやその電話の出方」"
『あんまりからかうと切るけど』
"「すまんて、今大丈夫か？」"
『うん、大丈夫だよ』
今日は国立大学の合格発表が行われる日だ。北くんも国立大学を受験しており、志望先へ合否を確認しに行っている。
昨日北くんに家に帰ったら電話するわ、と言われていた。今日一日ずっと緊張しっぱなしで やっとそれからも解放される。私は北くんの次の言葉を待った。
"「受かったで、大学」"
『えっ、ほんとに？』
"「誰がそないな嘘つくん、ほんまやほんま」"
『おめでとう...！！』
"「おん、ありがとお」"
バタバタとベッドの上で転げ回る私に、北くんは「こら 暴れるな」と子供を叱るように言う。
しばらく北くんと話したあと、私は春休みが始まってからずっと考えていた事を提案することにした。
『北くん、今週の土曜日空いてますか』
"「土曜？...空いとるけど、どないしたん」"
『＿＿＿一緒に、桜を見に行きませんか...』
だんだん恥ずかしくなってきて尻すぼみになりながらそう告げると、電話の向こうで北くんがからからと笑う。
"「新大学生のデートにしては、えらい風流やなあ」"
デート。その単語に頬が熱くなる。対面じゃなくてよかった、こんなところ北くんに見られたら 恥ずかしいどころの話じゃない。
正直遊園地だとかそういうデートの定番的なところは苦手だったりする。
私自身桜を見るのが大好きだし、その上 感性の大人びている北くんなら このお誘いには乗ってくれると思っての提案だった。
"「ええよ、行こか」"
『ほんと？』
"「おん、理由も無いのに彼女の誘い断る男なんておらへんやろ」"
『うっ、.....すき』
"「俺も」"
電話を切って、鏡の前ですっかり伸びきってしまった髪を見て くるくると指に巻き付ける。
私は よし、と声を上げて 週末のデートに胸を躍らせた。
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はやみこ - 北さん…かっこいい！とても素敵なお話でした。 (2020年5月24日 12時) (
レス) id: d7eec8a8e8 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - えええ、大耳くん？？？それは意味深だよぉぉ。君も素敵な男やなぁ。これぞ甘酸っぱいお話ですね。誰かの恋の裏には言い出せもしない失恋が隠れてるのかな何て勝手に想像してしまいました。 (2020年4月30日 23時) (レス) id: 8c1d6118a6 (このIDを非表示/違反報告)
氷水(プロフ) - うわあああ…たまたま見つけて読んでしまいましたが、とても素敵でした…素敵な北くんのお話をありがとう… (2020年3月26日 1時) (レス) id: b2d8d7cb3b (このIDを非表示/違反報告)
an20080321(プロフ) - もうさいっっっこうです！！素晴らしい作品ありがとうございました、、！！ (2020年3月12日 21時) (レス) id: ee660bdd63 (このIDを非表示/違反報告)
月埜(プロフ) - ありすさん» ありすさんはじめまして、ありがとうございます...！！この作品で少しでも多くの方に北くんをもっと好きになって下さったら嬉しい限りです。コメントありがとうございました！！ (2020年2月25日 22時) (レス) id: d1ca7a883a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月埜 | 作成日時：2020年2月14日 22時
