春、恋に落ちて。2 (ページ10)

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なんとかその日の撮影をこなし、くたくたで帰宅し
ソファにそのまま倒れ込んだ。

気を張っていたせいでいつも以上に疲れた。

櫻井さんにあんなことを直接言われるとは思ってなかったから案外効いてるみたいだ。

横になったままスマホを開いてインスタを流し見。
なんか更新しないと…

スクロールしていたら目に入ってきた櫻井さんの投稿。

『バッグ新調しました♡
モデルのAちゃんの広告が素敵で衝動買い！』

バッグを持ってにっこり笑う櫻井さんの写真が添付されている。

しかも投稿はついさっき更新されたばかり。
わたしとあんな出来事があったのに更新するなんて、嫌がらせだと思う。

…もういいや、わたしが諦めて終わりにすればいいだけの話。
玉森裕太に関わらなければいいだけ。

その投稿にいいねしてインスタも閉じた。

そりゃ気に食わないよね。
自分の彼氏と仕事を一緒にしてる相手が好意持ってるなんて。

本当にこれで終わりにしよう。

そう思ってわたしは玉森裕太に
［これからは仕事以外で会うのはやめよう。］
と連絡して、目を閉じた。

疲れているはずなのに眠れない。
普段泣くキャラじゃないのに…

ぼろぼろと零れる涙。

こんなに傷付けられて、彼女もいるのに…

なんで今までのわたしみたいに放り出せないんだろう。
もうどうでもいいや、って何回もやってきたのに。

なんで玉森裕太が相手だとできないんだろう。