春、恋に落ちて。2 (ページ3)

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53 Yuta side ページ3

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アンバサダーの仕事が落ち着いて、しばらくAとは会ってない。
最近よく会ってたし、たまにはこういうのもいいな。

…って思ってたのに、
［裕太くん、ひさしぶり！］
と理央から連絡がきた。

それだけで俺の心はかき乱される。

あーめんどくせえな。
返さないでいようかと思ったのに、

［ご飯行こうよ！今日あたし18時終わりなの。
19時に○○で待ってるね！］

なんて一方的なメッセージ。

まあ、いいか。ご飯くらい。
［了解］とだけ返事する。

その日の仕事を終えお店に向かったら
もう理央はついてたみたいで、
店員さんに「櫻井様ですね、ご案内いたします」
ってスマートに通された。

個室のドアを開けたら
「あー！裕太くん本当に来たー！」
なんてニッコニコしてる。

「了解っていっただろ。そりゃ行くよ笑」

「そっか！ねえこれ見て～！
これ裕太くんがアンバサダーやってるから買っちゃったの！」

そういって見せてきたのは、俺がアンバサダーしているブランドのバッグ。

「あ、買ったんだ。いいじゃん。」

「そうなのー！ほら、なんだっけ？一緒にやってるモデルの子…」

「あー、A？」

「そうそう！その子が持って写真撮ってたよね！」

よく見てんだな、女の人って。
俺はあんまり記憶にないけど適当に相槌を打つ。

それから注文した料理が運ばれてきて、お酒を飲みながら他愛もない話をする。

「ところでさ、裕太くんはAちゃんのことどう思ってるの？」

「えっ急に何？」

突拍子もない質問にびっくりする。

「裕太くんのことだから遊んだのかなって思ったの！」

にこにこ笑顔で聞いてくるのが逆に怖い。

「そんなことないよ。まじでなんで？」

冷静を装う。
ほんとは内心びくびくしてるけど。

「だって、Aちゃんの裕太くんを見る目が乙女だったもん！」

まじで…？
確かに俺に好意があるのはわかってるけど、そんな乙女な目してた…？

「そんなことねえよ、気のせいじゃね？」

「絶対好きだよAちゃん！
女の勘は当たるの！」

「ふーん。別にどうでもいいけど…」

なんでそんなこと聞いてくんだろ？
でも深掘りしても怪しいよな？

理央に悟られたくない、Aとのこと。
俺もちゃんとAのことが好きだってこと。

なのに理央は
「あたし、あの子に裕太くん取られたくない」
と言って泣きはじめた。