あれこれ詰め込んでみるのも悪くない。 (ページ3)

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タクシーが目的地へと到着し、待ち合わせの店に駆け込む。訝しげな表情で店員に見られるも仕方がない。こっちはそれどころではないのだ。

さすがに店内は走れないが、それでも急いでAのいる席に向かう。

「Aごめん！」

頭を下げようとした吉沢の足を蹴る。下げかけた頭を止めてAを見れば呆れた顔で睨まれる。

『声がでかい。これ以上恥かかせないで。早く座って。いますぐ。』

頬杖をついて吉沢から目線を外すA。慌てて向かいの席へと座り「ごめん。」と改めて告げる。

確かに3時間以上待ちぼうけをさせた挙句、やっと来た相手に大声で土下座する勢いで謝られたら悪目立ちする一方なのだろう。

座ってからもう一度頭を下げると、返って来たのは『もういいから。』と諦めにも似た溜息交じりの声。さすがにもう顔を上げられなかった。

待ち合わせの時間も場所も吉沢が決めた。普段はインドアな吉沢が自分の頭をフル回転させ、同僚の山﨑や神木にアドバイスをもらいつつようやく完成させたデートプラン。

始まりから既にこれである。先が思いやられるなんてそんなことを後悔する場合ではない。何もよりもまずAの機嫌を直さなければ。

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