あれこれ詰め込んでみるのも悪くない。 (ページ2)

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その日、吉沢はちょっとしたトラブルに見舞われた。朝からその対応に追われて、やっと一息ついたのは15時を過ぎてから。お昼もまともに食べずにいた為お茶でもと一息つく。

「あれ、お亮、今日の午後は休みじゃなかったの？」

「なんでいるの？」と同僚の山﨑に声を掛けられてもしばらく吉沢は返事が出来なかった。慌てて脳内に思考を張り巡らせる。

数秒遅れて頭に届いたその言葉で、吉沢は全員の名前が貼ってあるホワイトボードを見た。そこには確かに書いてある。「午後休」と。

視覚から得た情報と、己の脳内にあるものが合致する。理解した頃には血の気が引いた。

ガタンっと大きな音を立てながら立ち上がると、「ごめん！あとよろしく！」と山﨑に言い捨て慌てて事務所を飛び出す。

ロッカールームで慌てて着替え荷物を持つ。紙袋ももちろん忘れずに。あとでネクタイをすれば良い。とネクタイをカバンの中に突っ込む。

慌てて会社を出ればタクシーを捕まえ目的地を告げる。Aに電話を掛けてみるもコール音が鳴り続けるだけ。ああ。やってしまった。頭を抱えたところでどうにもならないことなど分かってはいるが抱えずにはいられない。

これはどっちだ？必死に頭の中で考える。Aがスマホを忘れたか。それとも怒って無視しているか。考えたって仕方がないことでも考えてしまうのはそれ以外にすることがないからだろうか。

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