昔話 ページ46
※『夜』にて触れた、yb.hk.tkの過去編
※ybさんの一人語り多め
※他の5人は出てきません
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
yb
俺たち3人の出会いは中学校のとき。
バラバラの小学校から集まって、たまたま同じクラスになって、意気投合して。
青春ぽいこともバカみたいなことも、なんでも3人でやった。
勉強が得意な俺と、勉強が苦手な光と雄也。
高校は離れるかと思ったけど、2人して勉強を教えてくれって俺に頼み込んできて、なんとか同じところに入学した。
高校のときは、怖いものなしだった。
身長が伸びて、誰とでも仲良くしていれば、そこそこモテた。
3人ともモテたから、それぞれ彼女ができたこともあった。
でも、彼女と遊ぶより3人でいた方が楽しいって気づいたから、結局長続きせず、いつも3人だった。
3年の、夏にかけての衣替えの季節。
その日も、何気なく3人で集まって、だらだら話していた。
すると、
「ねぇ、2人は進路どうすんの？」
雄也からの、珍しいその質問。
高校受験のときはなんでもいいや、なんて言ってたくせに。
光も驚いているようだった。
「なんだよ急に」
「いやだってさ、先生にすごい言われるんだよ」
「あー…」
自称進学校と名乗るその高校にいれば、早く進路を決めないといい大学にも行けないぞと、何度も言われて。
「俺、勉強苦手だしなー」
「俺も。大学でさらに勉強って言われるとなー」
「だからと言って、まだ働きたくもないしなー」
「分かる」
2人の会話に、俺も、と声を上げると2人ともこっちを見て、
「え、薮くん大学いかないの？」
「薮は頭いいし、てっきり大学行くのかと思ってたわ」
そう言った。
何度も周りに言われた台詞だった。
たしかに、勉強はそこそこできる方だと思うし、そこまで苦でもない。
でもだからと言って、大学まで行って何をしたいかと問われると、何もない、としか言えなかった。
正直にそう伝えると、そっかー、そうだよなーと納得したような顔。
「俺たち、みんな一緒だな」
「いいのか分かんないけどね」
「ずっとこのままいれたらいいのになー」
そんな会話を交わしていた。
数日後、大きな転機が訪れるとは知らず。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 175人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まり | 作成日時：2022年10月30日 15時
