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★9-13 ページ36

山田side

ーーーー過去編ーーーー


山田株式会社は、俺のじいちゃんが作った会社。
じいちゃんは偉大な人だった。
誰にでも優しく誠実で、信頼も厚かった。
俺も良くしてもらっていたから、幼い頃の記憶ながらによく覚えている。
だから、最初は小さかった会社も、じいちゃんの人柄のおかげでどんどん大きくなっていった。


…でもそんなじいちゃんは、野望半ばにして亡 くなってしまった。
実は、じいちゃんは会社を設立してからすぐに大病を患っていたみたい。
その病がじいちゃんの体をむしばんでいたんだ。


じいちゃんは、自分が長く生きられないことを知って、息子である父さんに会社のいろはを教えていた。
でも父さんは、ずっとじいちゃんのやり方に反対してたらしい。
父さんは、人徳とか信頼とかそういうのが大嫌いで、才能のある人間にしか興味が無い人だったから。


じいちゃんが死 んですぐ、会社の社長は父さんに変わった。
……そして、ここからが、地獄の始まりだった。

















「おい!涼介!!どこにいる!!」


…また、だ…。また怒られる…!
はやく隠れないと……!!


バンッ


「おい涼介!!」

「ひっ!」

「呼んだら出てこいと言ってるだろう!
この出来損ないめ!!!」

「す、すみません……!」

「兄や姉はよくできているのに、なぜお前にはできないんだ!!」

「っ……!!」

「大体お前は_____!!!___、______」


始まった……。
父さんはいつも俺ばっかりに怒る…。


じいちゃんが死 んでから、父さんは俺たち兄弟にまで実力主義を押し付けるようになった。
兄と姉はもう中学生になっていて、うまく実力を身につける方法を学び始めていた。
だからか、父さんにはいつもいい顔ができた。


でもそのときまだ小学校に入学して間も無かった俺に、兄や姉と同じことができるはずがなかった。
どれだけ頑張っても、一番にはなれない。
勉強も運動も、どんなに頑張ってもせいぜい三番。


父さんは、そんな俺が気に入らなかった。
だから気に入らないことを見つけては俺を呼び出し、こうやって怒鳴っていた。


……酷い時には、殴られたり閉じ込められたり。
食事が与えられない時もあった。


兄と姉は、自分は同じ目に遭いたくないからと、いつも見て見ぬふりをしていた。
学校へ行っても、付き合う人間を選べと言われていたため、仲のいい友達もできず。




俺に、味方はいなかった。

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作者名:まり | 作成日時:2019年1月15日 17時

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