切り抜き 短編集

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最近何故か毎日来る藤ヶ谷
懐かれたのは悪い気はしないんだけど…



藤「きーたやまっ」

北「……」



今日も来たこいつ



北「おはよ」

藤「今日は何してた？」



何も教えてないから何も知らなくて
居心地よくて



北「今日は本読んでた」

藤「これ？…ピンクとグレー
知らないや、面白い？」

北「うん」

藤「読んでみようかな」



会うのもベッドくらいだから
突然寝てしまっても藤ヶ谷は気付かない

そもそもあんまり浸透してる病気でもないし



藤「あ、これ」

北「ウォークマン？」

藤「オススメの曲入れてきたから聴いてみて」



それに、藤ヶ谷は何も聞かない

今日あったこと、明日のこと
話すのはそんな簡単なこと

突然発祥したわけでもないけど
最近酷くなった症状になれるまで

そして帰る場所の環境が整うまで

いつまでか分からない病院生活
少しでも綺麗で楽しい思い出にしたい



北「さんきゅ」

藤「ねね、英語教えて欲しいとこあるんだけど…」

北「いいよ。どこ？」

藤「えっとね」



思ったより汚い字がおかしくて
笑うと怒る君が可愛いくて

毎日、眠るのが怖いんだ。



藤「北山？」

北「あ、悪い」

藤「ちょっと疲れた？休む？」

北「いや、大丈夫」



寝たいときに寝て
起きたいときに起きたい

ただそれだけが何故出来ないんだろう

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