検索窓
今日:8 hit、昨日:17 hit、合計:76,472 hit

ページ2

+








優斗がこの世を去る二日前














『 花火大会楽しみだね 』

" そうだね "









毎年テレビで特集されている有名な花火大会に行こうと
約束をしていた私達 。









『 そういえばね 、新しい浴衣買っちゃったんだー 』

" へー 。どんなの買ったの?"

『 それは当日のお楽しみだよ 』

" 気になるじゃん!教えてよ "

『 教えなーい 、当日まで秘密!』











カレンダーに大きな文字で書かれた花火大会の四文字を
眺めながら心を躍らせていた 。









『 あ!花火大会の日 、久しぶりに待ち合わせしよう 』

" え?待ち合わせ?"

『 うん!』

" 別にいいけど … 何で?"













いつも家まで迎えに来てくれる優斗は
不思議そうにしていたけれど









『 花火大会当日の女の子は忙しいの!』













せっかくの新しい浴衣だから髪も綺麗にセットして
花火大会へ行こうと美容院も予約していた私は
待ち合わせを提案した 。














" オッケー 、浴衣姿楽しみにしてる "









そう言って優斗は私の提案に頷いたけれど









『 え …… 』









花火大会当日 。


セットが長引いて
待ち合わせ場所へ十分以上も遅れてしまった私は
その場に着いた途端 、手に持っていたカゴ巾着を落とした









独特の臭いと鳴り響くサイレン 、







同情の視線が集まる先には赤が広がっていて
私を待っていた彼が救急隊員に運ばれて行くところを
呆然と見ていた 。









『 やだ!やだっ … !』











アルコールを含んだ人が運転をしていた車に
凄い勢いでぶつかって 、一瞬だった 。と













その一言で済まされるこの現実があまりに辛くて
何度も何度も恨んだ 。










優斗の命を奪った運転手を

優斗のことを救ってくれなかった医者を 。









『 悪い夢でありますように 』









何度もそう願った 。






だけど悪い夢は覚めてくれないのか …


彼が戻って来ることはなかった 。









『 …… 私があんなことを言わなければ 』









優斗は今も存在していただろう 。









『 私が遅れなければ …… 』









不幸に遭うことも無かったはずなのに 。









私が悪いんだ …








+

◇→←◇



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (220 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
370人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

にこ - みるるん!さんが伝えたかったことと私が感じたことは違うかもしれませんが、私はハッピーエンドだと思ってます。こんなに愛せる人と一緒にいれるのは幸せだと思うし、生きることだけがその人にとって幸せとは限らないので…(気分を害されたらすみません…!) (2020年3月4日 5時) (レス) id: 03a051c83b (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりー - 短編だけれどお話がまとまってて読みやすいし最後になるにつれて鳥肌が立ちました。作者さん天才、、、、、 (2020年3月1日 23時) (レス) id: fc96554ac3 (このIDを非表示/違反報告)
サナ - 物語読んで、メッチャ体がしびれた自分が溶け込んでた。 (2020年3月1日 23時) (レス) id: 185d75fc93 (このIDを非表示/違反報告)
hiレベルな小5 - 私も最近辛いことがあったので泣けてきちゃいました。あと優斗くん大好きなので余計泣けてきました。 (2020年2月23日 15時) (レス) id: 62d5677c5a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みるるん | 作成日時:2020年2月23日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。