EP 72 ページ23
ーー
夜になり、雨も大分落ち着いてきた。
夜空では雲から星がチラチラと顔を出していた。
今日は月の光が無いせいか展望台の灯りがやけに明るく目立つ。
ダイニングの扉を背に海を眺めていると、遠い後ろで声がした。
ル「おーいミラッ！ここだ！しっしっし！笑」
大浴場の建物の上で大きく手を振るルフィ。
恐らく今はナミが入浴中。
ナミの目に付きにくい場所とタイミングを狙ってやった感満載の笑顔を見せる。
…って…ルフィ、まさか…
昼間の変わらない服装
ということは濡れたままずっと着替えてないということだ。
あ「ルフィ！夜風に当たると風邪引くよー！」
ビヨーーーンと伸びてくる手。
手でぐるぐると巻かれる腹部。
ま、さかッ…
ビュンッと体が宙に浮き、物体を目で捉えられない速さで動く。
気がつけばルフィの腕の中だった。
しっとりと濡れているルフィの服。
…やっぱり着替えてなかった。
子供の時から、服を着替えるという習慣がルフィにはなかった。
私やエース、サボが服を用意しなければ、着てないこともあったぐらい…
あ「ルフィ、いくら風邪引かないって言ったって保証は出来ないんだから！いつまでも濡れた服着てちゃダメだよ」
ル「…？？ほっときゃ乾くぞ？」
あ「そーゆー問題じゃないの、それに夜風も冷たいし…寒いでしょ？」
ル「いやミラがいるからあったけェ！笑」
抱き締められている今の状況にハッと気付く。
あ「ルフィ、私は寒い…///」
顔は熱いのに体はルフィの濡れた服と夜風で冷たい。
あ、そっか！と離れるルフィ。
小さくて泣き虫だったルフィが逞しく成長しているのに物凄い違和感を感じてしまう。
私の時は、3人と別れたあの時で止まったままだったから…
チラッと見上げると、悪りぃ悪りぃと能天気に謝るルフィ。
そこはなんら変わらないな〜…笑
大浴場からはナミの鼻歌が聞こえてきた。
…私もお風呂入ろうかな。
暖かいお風呂に今すぐにでも入りたい気分になってきた。
あ「ルフィ、私もナミとお風呂入ってくるね笑」
ル「おう！笑」
あ「ルフィもちゃんと温まらなきゃダメだからね！」
そう言い残し、下へ滑り降りようと腰を下ろす。
だがルフィが思い出したかのように「あ」と声を漏らした。
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作者名：koi | 作成日時：2019年2月17日 0時
