・□□ ページ32
「お前、朝から何 その顔？」
「……別に」
あの日から、安田くんは軽音部に入り浸り
部員でもないのに練習に参加し、文化祭にも出ることになった…と、ヨシ兄から聞いた
毎日の練習、それがない日も安田くんは足早に帰って行く日が続いて、私の手元には、返すに返せない本がもう三週間近くある
「なぁ、そんなに安田のこと気になるの？だったら、見学来りゃいいじゃん」
「そんな事、出来るわけないでしょ？」
渋谷先輩とヨシ兄は、とにかくモテる
2人がステージに立てば、客席は満員
バレンタインも誕生日も、数え切れないほどのプレゼントを持ち帰る
そんな2人を一目見ようと、放課後 音楽室の周りには、女の子が溢れかえって…
そんな日が毎日続くから
“軽音部は見学禁止”
そんな決まりがいつしか出来上がっていた
「はぁ…」
この本、いつ返せるんだろう…
安田くんの本、ページをパラパラめくっていると
「A、俺 今日コレ忘れるから」
バサっとテーブルに置かれた楽譜
「お前、ちゃんと届けに来いよ」
「はっ？なんで？ちゃんと持って…」
バタンと閉じたリビングのドア
何あれ。意味 わかんない…
“忘れる宣言”された楽譜、鞄の中に突っ込んで家を出た
何が何だかわからず、音楽室に楽譜を届ければ、当たり前だけど そこには安田くんもいて
「A、ちょっと聞いて 意見ちょうだいよ」
と、出て行こうとした私を引き止めたのは ヨシ兄で
「ほれ、ここ座り」
椅子を用意してくれたのは、渋谷先輩だった
“意見聞かせて”なんて言われたけれど、私の意見なんて聞かれる事は一度もなく
「おっしゃ、こんなもんやろ。今日は終わり〜」
渋谷先輩の一声で、練習は終了
「小池さんっ」
パタパタと駆け寄って来たのは
「安田くん」
「ごめんな？なかなか時間 作られへんくって」
「ううん。これ、借りてた本。ありがとね」
「いいえ。僕も これ。借りてた本と次のオススメ」
「……うん」
「……あれっ？小池さんのオススメは？」
「あっ…と。安田くん忙しいでしょ？読む暇 ある？」
「あるあるっ。小池さんから借りる本、楽しみにしてるんやで？」
「じゃあ、これ…」
裏表紙のあらすじ読みながら
「面白そうやな〜」
と、嬉しそうな安田くんは、私が知ってる安田くん
でも、さっきまでギターをかき鳴らしていた安田くんは、私の知らない安田くんで
やっぱり……なんか 複雑だ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1008人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
倉安LOVE - もちろんです。次回の新作も楽しみに待っています。これから寒くなってくるので体調には気をつけてくださいね。 (2018年11月19日 0時) (
レス) id: 74ed2de143 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 倉安LOVEさん» 倉安LOVEさん、初めまして。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。これからもお付き合いいただけたら嬉しいです(*^ω^*) (2018年11月15日 22時) (レス) id: 19b6facfd4 (このIDを非表示/違反報告)
倉安LOVE - 初めまして最初から読んでいました。どのお話も感動しました。最後のヤスくんのお話では二人が付き合えてよかったと思いました。次の新作も楽しみに待っています。 (2018年11月15日 16時) (レス) id: 74ed2de143 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - れなさん» れなさん、初めまして。コメント ありがとうございます^ ^毎回、楽しみにして下さっていたとの事。嬉しい限りです（≧∇≦）次回作、自己満発揮作品になるかと思いますが、お付き合いいただけると嬉しいです☆ (2017年10月26日 12時) (レス) id: 19b6facfd4 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 初めまして！完結お疲れ様でした！この短編集いつも楽しく読ませてもらってました！新作楽しみです！頑張ってください！ (2017年10月25日 22時) (レス) id: b5ce47fc81 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちか
| 作成日時：2017年9月14日 0時
