“ありがとう”を 貴女に…【短編集】vol.3

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「ウソ…でしょ？」

私の夢、叶えるなんて


「何が〜？」

ちょっとおどけた言い方に


「だからっ！…」

からかわれてる気がして、思わず声を荒げた


だって、出来るわけがない

今の彼の立場で、そんな事……



「A。俺がウソ ついた事ある？ないやろ？
ほしたら、ちゃんと言うてみ？」


昔みたいに、私の目線まで降りてきてくれて、視線を合わせて微笑んでくれるから



本気にしても、いいのかな？

って、思った




「私の夢……叶えて くれますか？」




「はい、喜んで」



フワリと頭にのった 温かい手

「おかえり、A」


スルスルと撫でながら

「俺は、あの頃から ずっと、Aの事が好きやった」


サラリと想いを告げられて

今度は腕の中に閉じ込められて



「Aは？」

なんて 聞かれたら




「私もっ……ずっと、ずっと 好きだった。





きみくん…………大好きっ」




昔の私に



きみくんと別れた、8歳の頃の私に戻ってしまうのは、許してほしい






“ほしたら、また連絡するな”

連絡先を書き残し、これからまだ仕事があるからと、足早に帰っていった きみくん


夢……じゃないの かな？

あの超有名アイドルが きみくんで、その人が……私の 彼氏、とか…………


まだフワフワする頭と心

飾り棚に並ぶうさぎとパンダを見て、やっぱり現実だったんだと思わず頬が緩む



“アイドル”が彼氏なんて、これからに不安がないなんて言ったらウソになる

でも、大丈夫


“これから、しんどい事もあるかもしらんけど、大丈夫。やって 俺達やもん”



きみくんがこう言ってくれたから



何があっても、乗り越えてゆける






彼のこと 信じていれば





きっと、大丈夫

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