・ ページ31
床を拭いていると上から水が降ってきた
降ってきたんじゃなくて、かけられたんだ、、
服も髪もびしょ濡れで、粉々になって散らばったアイシャドウに水がかかり固まって取れにくくなっていた
「目障りなのよあんた」
私は顔を上げることも出来ずに先輩が出て行くドアの音を静かに聞いていた
それと同時に涙が溢れて止まらなくなった
なんで、、私こんなこと、、
言い返せない自分にも、こんな事されても平気なふりをしている自分にも腹が立った
しばらく涙は止まらなくて、ガチャというドアの音で我に返った
スタッフさんかな、、なにも言ってこないけど、、
「すみません!今片付けるので、、」
涙を袖で拭いて、2枚目のタオルを取ろうとした私の腕は壱馬さんに掴まれていた
「なにこれ」
「っ、、落としちゃって、、」
「これは?」
そう言って私の濡れた髪をすくう
「これは、、」
「Aちゃん。ほんまのこと言って」
「っ、ほんとに何もないです、、!大丈夫ですから、、」
壱馬さんはアーティストで私はただヘアメイクを担当してるだけ。ただそれだけ。
そんな人に心配かけられないし、迷惑かけたくない。
なのに大丈夫という言葉とは矛盾して涙が止まらなくなった
壱馬さんの前でこんな泣くなんて、、
迷惑すぎるよ、、
そう思ってもう泣き止もうと顔をあげた瞬間
腕をひかれ壱馬さんに抱きしめられていた
397人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ysakamosan | 作成日時:2022年6月24日 23時