TOP4に溺れていく。

奪い愛(牛沢end) ページ38

-A-
私が好きなのは、想いが溢れるように告白してくれたうっしーだ。
先程、他の3人に負けたくなくて、真っ直ぐに想いを伝えてくれた彼は本当に素敵で、今思えばなんで今まで相談に乗っていてくれた彼のことを好きだと気づかなかったんだろうか疑問だ。

でも、どうしても告白してきてくれたさっきのうっしーを思い出す。
泣くほどまでに伝えてくれた彼は、私と会って気まずく無いだろうか？
彼に急にあなたが好きだなんて言ったら、今まで相談に乗っていたのは無駄だと思われてしまうかもしれない。
何より彼が最後に告白してきてくれたのだ。
他の3人のことを弄んでるなんて思われないだろうか？
汚い考えばかりが脳内をよぎる。

言えない。

そんな時旧友からLINEが入った。
-久しぶりにまた飲まない？-

弱い私は、逃げた。
-うん、飲もう〜-

あ、うっしーと飲んだことあるとこだ…
旧友が先導して着いたところが、まさにうっしーの家に近い、そこだった。
旧友に相談は出来なかった。
答えが出ているのに返事をしていないだけで、相談する必要がそもそも無いに等しいのだ。

うっしーのお気に入りの居酒屋で、うっしーのお気に入りのおつまみを頼んで、うっしーのお気に入りだと勧めてくれたゲームの話をする。

ダメだ、私、うっしーのことが頭から離れない。

飲み終えたあとは外は土砂降りだった。
｢うーわ土砂降り！傘買いに行くね｣
旧友がそんなことを言ったが、それを止めて、気づいたら彼の元へ猛ダッシュ。
｢A!!馬鹿じゃねぇの!?｣
『ちょっと、用ができたから!』
そう言い捨て、大雨の夜の街を全力疾走した。

インターホンを押すと大好きな彼が出てくる。
｢Aちゃん!?何してんの!?びしょ濡れじゃん!?ちょ、入って!｣
玄関の中に腕を引っ張られながら大きな声を出した。
『うっしーのことが、好きなの!』
玄関が開いたまま、彼は動きを止めた。
後ろの雨がうるさい。聞こえた?よね?
酔っている訳ではなかった。
涙混じりの雨で全身はびしょびしょに濡れていた。
髪の毛から滴り落ちてくる水が頬を伝う。
玄関に水溜まりができ始めた。

｢…A!!｣
『好き、好き、好き…!!』
涙が溢れて、雨と一緒になって頬を伝う。
気づいたら抱きしめられていて、温かさを感じた。

｢…A…俺も好きだ、だから、付き合ってくれ!｣
『!!…うん!!』

雨の音はそっちのけで、彼の心臓の音しか聞こえなかった。

私たちらしく、全力で想いを通わせた、大雨の夜のこと。

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