TOP4に溺れていく。

奪い愛(全員) ページ30

-牛沢-
モヤモヤする。
なんなんだこの空気は。
明らかにおかしいだろ。

キヨも、レトルトも、Aちゃんも、様子が変すぎる。
キヨは凄い疑り深い目でレトルトのこと見てるし…
レトルトは目が泳いでる…
肝心のAちゃんは愛想笑いが増えた…
ガッチさんと俺でどうにか進行できてるようなもんだ。

とか言ってるけど…
どうせガッチさんも俺らと一緒でAちゃんのことが好きなんだろ？
もうわかるんだよ。
どれだけAちゃんのことが好きで見てると思ってんの。
皆もお互いに気づいてるだろ？
バレバレだ。
みんな、みんな、バレバレ、なのに白々しい。

いっその事、正直になれたらな楽だろな。

肉に爪がくい込むほど、力強く拳を握りしめた。

動画撮影後、Aちゃんが帰った後、俺らは4人で話していた。

｢キヨ、レトルト、正直に話せよ。もうさ、この空気耐えられねぇんだよ。｣

笑いながら、言っても愛想笑いでそう声にしてみた。
意気地無しな俺が、大きな勇気でやっと出した、弱っちい小さな思い。

｢俺はAちゃんのことが好きだから、告白したよ、この間。返事は無くてもいいって言った。それだけ。レトさんもずっと好きだったんでしょ？気づいてたよ、いつ、言ってくれるかなって思ってた。｣

淡々と話すキヨはいつもの大声バカな様子とは打って変わって真剣な表情でレトルトを見た。

｢うん…お、俺も、Aちゃんのことが、好き…動画撮る前、思わず抱きしめちゃって…好きって口が滑っちゃった……。き、キヨくんが好きっていうのはもう随分前から気づいてたよ！でも、思わず…。｣

レトルトが弱気で答える。
こいつもAちゃんと同じで、関係を壊したくないだけじゃんか。似たもの同士かよ。

｢正々堂々と勝負でいいじゃん。なんでそんな弱気になんの。｣

キヨが急に大きな笑顔でレトルトを見る。
こいつ、随分思い切ったこと言うよな、脱帽ものだ。

｢え???｣
｢恋愛に被りNGとか聞いた事ないよ?!ていうか俺らが2人ともAちゃんのこと好きになるってことは、それくらいAちゃんは魅力的ってことが証明されたんだよ！俺、返事しなくてもいいって言っちゃったけど、レトさんの口からレトさんがAちゃん好きって聞いたらやっぱ諦めとか出来ねぇわ！もう、本気で俺のものにする！レトさん勝負な！どんな結果になっても、お互いは仲良い実況者でいることな！｣
｢う、うん！｣

レトルトも本気になったようだ。

さぁ、いつ言おうか？

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