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握り返した手を音鳴さんは離さない。
周りに人は少ないとはいえ、誰かに見られたら恋人のように見えたりするのだろうか、?
「A〜おとーさんは何も聞いてないぞ〜」
と、横に止まったバンからニヤついた声がする。
ぱっと見るとニヤニヤが止まらない小峯さん。
「Aも大人だもんなぁ〜そうだよなぁ〜」
「自販機ですか?」
話を逸らそうとして小峯さん声を掛けるが
音鳴さんに目を向けたあと、お構い無しに
「なぁ〜るほどね、おとAはあります!」
とだけ一方的に言って走り去っていったのだった。
「誰やねん、あれ…」
「小峯さんですね、アイリスの」
「ギャング様か〜」
「いい人なんですけどね、たまにお茶目というか笑」
「ほんで、Aさん的にはおとAはあるん〜?」
「えっ!」
優しい笑顔がこちらに向く。
まぶしくって目を逸らしてしまう。
「えっと…それがあるかは分からないですけど」
もう一度、音鳴さんに目を合わせて、
「言われても、嫌じゃないですね」
「Aさん!!!!?」
何故かテンパっている音鳴さんを横目に
車出しておうちまで送ってください。と声をかける。
喜んで、と音鳴さんは助手席のドアを開ける。
らしく無い行動に、私はくすくす笑いながら車に乗り込むのだった。
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side 音鳴
あの後、Aさんを送って自分の家に帰った。
ありがとうございました、と笑うあの顔。
綺麗やなやっぱり。
スマホを見ると、いつものグループチャットに
メンバーそれぞれからAさんにどこで会って何をしたのか、自慢大会で盛り上がっている。
「あいつら、ほんまに…」
Aさんのこと気に入りすぎやな、と
グループチャットにAさんとのツーショットを貼る。
みんな残念やったな。
「1番長い事一緒にいたのは俺やねんな〜」
一緒に何をしたのか
一緒に何を喋ったのか
その辺りは、俺とAさんとの秘密やね。
(ダウンさせたとか絶対に怒られる…!!)

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作者名:kumagon | 作成日時:2024年11月23日 19時