episode４０ ページ42
夏目からAがES内で話題になっていると聞いたなずなは、空中庭園に来ていた。
自分が余計なことを言わなければ、こうはなっていなかったのかもしれない、と思ったけれど今更遅い。
Aに謝ろうかと悩んでいると、声がした。
「──といいんだけど。ヒロくん余計なこと言わないようにしてねェ？」
どうやら誰かが通話をしているようだ。
聞いたことがある声だったので、少し様子をうかがう。
「ん。じゃよろしく〜」
「あれ、そこにいるのは白鳥か？」
ちょうど通話が終わったのは見知った顔だったので、思わず声をかけた。
藍良は振り返るなり目を丸くした。
「に、仁兎先輩……！？ おつかれさまです！！！」
ぺこりと頭を下げる藍良。
なずなはまんざらでもなさそうに「白鳥もおつかれさま」と笑った。
「……白鳥は、Aって人のこと知ってるか？」
ふと沈黙が流れて、場をごまかすためについ口にしてしまった。
藍良は驚いたようだったけれど、すぐうなずいた。
「知ってますよォ。一部のKnightsnのファンからは裏切り者とかマナー違反とかけっこうネットで叩かれてるっぽいですし……大事になるのも時間の問題かな〜、みたいな」
スタプロに所属している藍良でも知っているくらい──まあ彼はドルオタだからそういう情報にはもともと詳しいのだけれど──話題になっている。
「てかそれに関してはレオさんが前に"セナはあのメイドに惚れてたりして！ なんてな、あはは☆"なんて言ってたから、そろそろ瀬名先輩の耳にも入っちゃいそうですよね」
さり気なく恐ろしいことを言う。
泉がもし、自分は嘘をつかれていて、そのことでファンを悲しませていたなんて知ったら、きっと怒って、そして、傷つくだろう。
Aとはもう関わることをやめようとするかもしれない。
結果的にAも傷ついてしまう。
それは、どうしても避けたい。
──おれは、あいつの力になりたいだけなのに
不器用だから、空回って、失敗して、逆に迷惑をかけてしまう。
そんな自分が嫌になる。
それに、なずな自身もAに嘘をついている。
授業で彼女が泉の曲を流したとき、Aを初めて見かけた、というのは真っ赤な嘘だった。
本当は去年、あることをきっかけに彼女に一目惚れしていたのだ。
泉のファンだということもそのときから知っていた。
なずなは彼女のきれいな容姿に加えて、泉に対する真っすぐな想いに惹かれていたのだ。
「おれ、なにしてるんだろうな……」
ぽつりとつぶやくが、その答えは見つからない。
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咲愛(プロフ) - ﾂｷさん» コメントありがとうございます！始まった頃から読んでいただけているとは、大変うれしいです！続きは本日中に公開出来たらと思ってますので、ぜひぜひ今後ともよろしくお願いします！ (2023年2月22日 16時) (
レス) id: 8b89f62398 (このIDを非表示/違反報告)
ﾂｷ(プロフ) - この作品が始まった頃から楽しく読ませて頂いてます！毎日更新が楽しみで素敵な作品に出会えたなと思いました！続き楽しみに待ってます！ (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 56454ebf31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲愛 | 作成日時：2023年1月27日 12時
