episode２６ ページ28
「あれ、チェスは？」
舞台の幕が上がるなり友達がつぶやいた。
どうやら片方のユニットがいないらしい。
『チェスは不戦敗！！ 今日はおれたちKnightsのライブを楽しんでくれ〜☆』
あっけらかんとオレンジ髪の男の子が言った。
今なら月永レオくんってわかるけど、当時は元気な男の子だなーとしか思わなかった。
不戦敗……ライブに出ないということだ。
『今日のライブ、みんなにとって忘れられないものにするからねぇ』
まだコンセプトが決まり切ってない頃。
ファンの総称「お姫さま」も確立してなくて。
ただ来てくれた観客に、強く、そう宣言した灰色の髪の男の子がいた。
大きな舞台の上で輝く彼の美貌に、響く歌声に、心を奪われた。
合計７人が立っていた舞台。
印象に残っていたのは全部、灰色の髪の彼のこと。
「ねえ、あのさっきソロ歌ってた人の名前ってなに？」
「ああ、瀬名泉くんだよ。元モデル」
せないずみくん。
これが彼とのはじめての出会いだった。
『俺は、世界で一番きれいだねって言われるためなら何だってする。どんな努力も惜しまない』
その言葉に心を打たれた。
もう十分すぎるくらいにきれいなのに、妥協しない、さらなる高みを目指す姿勢。
かっこいいとか、そういう次元じゃなかった。
私の中で、何かが悲鳴を上げて震えるのを感じた。
これがレオくんだったら「
それくらいの感動だった。
全部なあなあで済めばよくて、別に一番じゃなくても、そこそこいい結果だったらそれで満足。
上を目指したところで、かないっこないんだから。
そうやって私は、気づけば努力することから逃げていた。
失敗するのが、怖かったから。
そんな私の背中をバシッとたたいて目を覚ましてくれたのは泉くんだ。
彼は、まったくそんなつもりはなかったのだろうけど。
気付いたら私は泉くんのファンになっていた。
チェックメイトのあと夢ノ咲で「何か」が起こって、ドリフェスが基本的に校内限定で行われるようになったのは、とても寂しかった。
テレビやドリフェス以外のライブで応援することはできるけれど、最初の出会いだったドリフェスで戦う彼を見たい、という想いはとても強かった。
そしてついにその日は来た。
「ＤＤＤ」という大きなドリフェス。
ＳＳ出場枠をかけての戦いらしい。
私は泉くんたちKnightsへ少しでもエールを送りたくて、ひとり夢ノ咲に向かった。
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咲愛(プロフ) - ﾂｷさん» コメントありがとうございます！始まった頃から読んでいただけているとは、大変うれしいです！続きは本日中に公開出来たらと思ってますので、ぜひぜひ今後ともよろしくお願いします！ (2023年2月22日 16時) (
レス) id: 8b89f62398 (このIDを非表示/違反報告)
ﾂｷ(プロフ) - この作品が始まった頃から楽しく読ませて頂いてます！毎日更新が楽しみで素敵な作品に出会えたなと思いました！続き楽しみに待ってます！ (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 56454ebf31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲愛 | 作成日時：2023年1月27日 12時
