キャラメルソルト・シュガー (ページ16)

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・side緑ページ16

⋯⋯寝てる。

寝てるな、うん、寝てる。

布団を蹴り飛ばすような体制のままベッドの上で微動だにしないA。

意外と寝相悪いんだよね(笑)

流石に風邪引いちゃうし、とペンを置いて机から立ち上がるとAが眠るベッドへと向かう。

阿部「⋯⋯もう、」

外は寒いのに、相変わらず季節感覚が狂っているAは薄い生地のパジャマを着る。

布団の上に投げ出された白い太腿は

正直、目に毒だ。

ミトのそれだって何回も見たことがあるはずなのに、Aにはまた別の緊張感を覚える。

阿部「A、A起きて。風邪引くよ」

優しく布団を叩いた。

もう。頼むからこれで起きてよ。

『⋯⋯⋯⋯うん』

口だけがもごもご。

だが目は開かない。

阿部「布団ちゃんと被って寝て。風邪ひいて困るのAだよ？」

ベッドの横に膝を立てて近くで言ってみる。

『ん、、』

まるで煩いと言うように唸ったAの手が
俺の頭に勢いよく下ろされた。

ゴン！と俺の脳天に衝撃が襲う。

阿部「んぐっ！！」

思わず頭を抱えて悶える程の勢いだったのに、

『⋯⋯』

Aは起きない。

だってこの子、寝相が悪すぎてベッドから落ちて寝てることもあるらしいよ。気づかないらしい。

⋯⋯らしい、けど。

たまにちょっと可笑しいなって思う。

熱々のコーヒーを

少しも躊躇わずに平然と飲む。

アクロバットで失敗して地面に叩きつけられても

ヘラヘラと立ち上がったり。

気温が一桁の日なのに『遅刻しそうだったから』と

防寒着を一切着ずに現場に来る。

それはきっと、鈍いとか、そういう次元じゃない気がする。