今、君が隣にいるということ

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先生から、少しだけ考える時間をもらった。







本来なら、命をとらなければならないんだろう。




そんなことは分かってる。






でも、





それでも、






あまりにもその代償がデカすぎて…。









はぁ…、とため息をついていると、ピコンと携帯にメッセージの知らせが届いた。



アプリを起動し、確認すると、





『病院どうだった？声、治りそう？』





手越からだった。





普段、自分から連絡なんて全くと言っていいほどとらないくせに、こういう時はちゃんと連絡を入れてくる。


律儀というか、マメというか…。







いや…違う…。





きっとこれが、“声”だからだ。






ジュニアの頃からずっと一緒に歌ってきた。



俺たちにとって歌は絶対で、一緒に高め合ってきた。




だから手越も心配なんだ。







ちゃんと、歌えるか…。








でも、それももう…。








途端、目の前が真っ暗になった。








どうなるんだろうか、どうすればいいんだろうか。









なあ、手越。







どうしよう…。







俺、もう歌えないかもしれないんだ…。








もう、お前と一緒に、








歌えないかもしれないんだ…。









・








「…っ、うっ…、」




溢れる涙をみて、




俺はこの時初めて、




自分が癌であることを認めた。



…

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