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「はぁ？」
”意味不明”と露骨に顔に出ている不良達を見ながら、少女は続ける。
「社会にきつく当られたから、社会にきつく当たり返す。そういう気持ちも分からなくはない。だけど、それは決して正当化されるものでは無い。野蛮な行為であり、罰せられる行為であることには変わりないの。あなた達が今生きているのはそういう社会よ。社会的弱者だからといって救われないし、だからといってテロ行為は許されない。」
「なにが言いたい？」
「可哀想だけど、共感は出来ない。やり方を考えなさい。」
緋色の瞳か不良達を捉える。そのうちの一人が少女の首を絞めあげ、言う。
「何エリート気取りで見下してんだ？長々と説教か？お前もすぐ同じレベルまで落としてやんよ。」
少女は何をするでもなく、ただ不敵な笑みを浮かべ、不良を瞳に捉えていた。
「なんだ…こいつ。」
首を絞められているのに苦しむ様子もなく笑うこいつは果たして人間なのだろうか。男は考える。…紅く揺れる瞳を見ていると、なぜかこいつに心臓を掴まれ、握られているような気分になる。ぞくりと悪寒が走る。
「バカね。私はエリートぶってはないわ。ただ、あなた達の行動が理にかなっていないから哀れんでいるのよ。」
「うえっ。」
思わず男は少女を投げ捨てる。
「もう。痛いわね。レディになんてことするの？」
余裕そうな少女と裏腹に、男は怯えていた。
「ど、どうしたんだ？」
ただならない雰囲気を汲み取り、一人が声をかける。
「こ、こいつ…。」
バンッ
言い終わらないうちに扉が開く。
「遅いわよ。」
待ちくたびれたわと小言を言う少女の目線の先には、先程まで一緒に行動していた4人と、少女の担任、そして”お手入れ”をされたのであろう不良(？)がいた。
「遅くなってすみません。ちょっと野暮用が…。」
「どうせ京都のスイーツにでもうつつを抜かしていたんでしょ。」
「違いますよ？！」
…その後はトントン拍子に問題は解決した。
「いやぁ。一時はどうなるかと思った。」
「俺一人なら、何とかなったと思うんだよねぇ。」
「私一人なら余裕だったわ。」
「捕まってたくせに、よく言うね。」
「あなた達の力を計っていたのよ。」
「はいはい。言い訳だねー。」
かったるそうに赤髪の少年はスマホをいじる。
「…あとそれ私のスマホなんだけど、返してくれる？」
「えー？履歴スクショ撮って俺に送ってからねー。」
「おい。なんもねぇよ。私女子だし。」
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作者名：夜桜 | 作成日時：2020年10月10日 18時
