【１期】弱虫姫★番外編【弱虫ペダル】

【文化祭編】キャットハント ０４ ページ11

「ぇ･･･？その声･･･。今泉、くん･･･？」

「･･･ああ。あまり嬉しくない姿だけどな」




クマさんが今泉くんだと気づいて安心した私は、クルリと体をクマさんに向けると思い切りふあふあを堪能することにした。

キュムっと抱きつくと、今泉クマさんは驚いたように体を強張らせたけど、最初にきゅうってしたのは今泉くんだ。




「ふあふあだねぇ。可愛いー。･･･あ。今泉くん。１０時から１０分だけここに隠れさせてほしいんだ。いいかな･･･？」

「ん？･･･ああ。例のキャットハントか。いいぜ。一応ここバーだし、飲み物くらいしかないけど見ていけよ」

「ほんと？ありがとう。助かります」




今泉くん扮するクマさんと仲良く手を繋いで教室に案内してもらうと、教室の中はちゃんとバーみたいになっててびっくりした。

男の人のセンスってシンプルなのにお洒落なんだなぁ。


確かに『着ぐるみバー』だ。

可愛い着ぐるみで女の子の喜ぶところを残しつつも、テレビで見たようなお洒落なショットバーみたいな雰囲気もある。

着ぐるみとのちぐはぐな感じが面白いと思う。


カウンターみたいに組まれた机に座ると、使い捨ての透明のプラカップの縁にカットしたフルーツを刺したお洒落なピンク色のジュースを出してくれる。

ここが教室じゃなければ本当のお酒みたいだ。


少し飲んで中身がイチゴとソーダのカクテルジュースだと気づいて嬉しくなってしまった。

ここでは注文を聞くのではなくて、その人のイメージでボーイさん、ううん、着ぐるみを着た動物さんたちがいろんなカクテルジュースを出してくれるらしい。

いろんなシロップを置いて、ソーダで割って出すらしいけど、凝ってるなぁ。


今泉クマさんは隣りに座ってくれていて、１０分くらいは大丈夫だと言ってくれたから、１人でいなくてホッとした。




「その格好だとうちのクラスにいた方が浮かないかもな」

「ふふ。そうかも。クマさんとネコさんのお茶会みたいだね」

「ふっ。そうだな。･･･って、こんな格好で言っても様にならないけどな」

「あっっ！いた！クリスさんみっけーっ」

「ぁ･･･。みつかっちゃった」




今泉くんとの会話を中断すると、嬉しそうに手を差し出す男子生徒に片手で手を添える。

顔を真っ赤にして慌てている男子生徒の手の甲にぽんと肉球型のスタンプを押した。


そして私は言わなければいけなかった。

あの言葉を･･･。

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