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パンッ、と乾いた音が響いた。
頬がヒリヒリと痛む、その痛みの正体に気づいたのは、痛みがしてから少しだけ時間が経った後のこと。


『鬼の始まり…源的な人って、無惨様だったんですか?佐々木、今凄い驚いてるんですが』


「無知とは罪だ。今までの自分を恨んでも、その責任は私にはない」


『ええ、分かってますよ佐々木です。佐々木はそこのところちゃんとわかるモブなので……だから一回平手打ちさせていただきました』


「は?」


『佐々木は平手打ちをした、これは家族を失った佐々木の報復です。佐々木は貴方を殺したいと思うほど憎んでいる訳じゃないので。かなりヤバイことした自覚はあるので殺して貰っても構いません、佐々木です』


「お前は……私を殺したいと、そう思わないと言うのか?何故、何故だ?私はお前の肉親を喰らった鬼を生み出した者なのだぞ?」


『だとしても、佐々木の家族を食べたのは無惨様とは違う鬼じゃないですか。無惨様からすれば……不特定多数いる内の駒にすぎない一体の鬼。生み出したのは貴方でも、直接喰らったわけではない以上、佐々木は貴方にそこまで恨みはないです…あ、佐々木です』


「……可笑しな人間だな、お前は。私を殺したいほど憎んでいる者には出会ってきたが、私をそこまで睨まないと言い切った人間は初めてだ」


『生きてたら、誰だって誰かに憎まれますよ。人間が完璧でない限りは』


「私は限りなく完璧に近い生物だ……お前は、私をそうは思わないか?」


『んー……佐々木は思いませんね』


無惨の眉が、ピクッと動いた。



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作者ホームページ:なし  作成日時:2020年11月3日 12時

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