【鬼滅の刃】陽光の巫女

会敵 ページ3

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「イヤァアアアァアアア……！！」




「ッ！悲鳴…？」
　

霞湖という場所に向かうために山を越えていると、突然甲高い悲鳴が届いた。

だんだんと大きく聞こえてくるにつれて、馬鹿じゃないの！？とか罵声も聞こえてきた。



「近づいてきてる…。人間と、鬼の気配ッ」
　

御札を取り出して構える。

と、間もなく奥の道から金髪の男の子がものすごい形相で走って来た。



「たすけ…ッてえ！？女の子ォオ！？」

「ンン？なんダァ、稀血の女じゃナイかァ！喰ってやル！お前ヲ先に喰っテやる！」
　

鬼の標的が稀血である私に切り替わる。

今のうちに男の子を私の間合いに下がらせておけば…。



「そこの方！そのまま、まっすぐ私の後ろに下がってください！」
　

男の子は一瞬目を見開いた後、ぐッと唇を噛んだ。

私の元まで走ってきて、そして、





「…ぇ、？」


「こッ、この子は…ッ！この子は絶対食べさせない…ッ！！」
　

私をかばうように、刀を構えた。


「オッ、俺、弱いけど！ものすっごく弱いけど！！でもッ、絶対手出しはさせない！」
　
顔は涙でぐちゃぐちゃ、足から手まで恐怖に震えているくせに、私の前からどこうとしない。



「邪魔スるナ！どケェ！！」

「どかない！！」


「ドけェエ！！」

「どか、ない！！」
　

鬼の攻撃を必死に刀で流している。

受けきれずに怪我を負っても、その場から動こうとはしなかった。



「……なにそれ、良い奴すぎるでしょ」
　

助けてって泣いてたくせに。

弱いって自覚してるくせに。




「太陽神天照大御神様。今汝の光で悪鬼を照らし給う…ッ！」
　


つくづく損な性格してるみたいだね。
　

パンッ、と一度柏手を打つと、指に挟んでいる御札が淡く光りだす。

ぽかぽかとした暖かい光。




「鬼となった人間に、救いの光を…」
　

男の子の首を落とさんとする鬼に御札を投げつける。
　



スゥッと胸の位置に張り付いた、その瞬間。






「ギャアアァ亜ァ亞ァアア唖亞アア！！！」


「ヒィッ！」
　

鬼は絶叫し、御札の張り付いた位置から灰のように朽ちていく。





「ァ……亞、ァ………」

　

目を閉じ、合掌。
　




再び目を開いたときには、鬼も御札も消えていた。

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