甘味 ページ16
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席はほとんど埋まっていたが、個室が空いているということで案内してもらった。
個室なら鬼の話をしてもお客さんに聞かれることはない。
「おう嬢ちゃん」
「は、はい?」
案内の人について歩いていると、通りがかった席に座っていた男性に声をかけられた。
私が反応すると、案内の人も善逸も、もちろん私が手を引いていたはるかちゃんも立ち止まる。
「旅の人かい?なかなかの別嬪さんだなぁ」
「あ、えーっと、ありがとうございます…?」
「まあ、ここの姫様には敵わんがな」
ガハハと笑うと、もうこっちに興味を失ったのか甘味を口に運び始めた。
なんだったんだ…?
「お騒がせしてすみません。ここの店主の娘、私の妹が、この甘味処の看板娘なんです」
「はあ…。なるほど」
ではこちらに。と案内を再開され、ついていこうと足を踏み出す。
と、誰かに肩をがしりと掴まれた。
「…ん、あれ?善逸?なにし…」
「おいそこのおっさん!!よく見てみろ!よぉおく見てみろAちゃんの顔を!!可愛いだろう!?可愛いよな!?Aちゃんはそんじょそこらの女の子よりもかわいいんだよ!」
「やめろ善逸ゥウウ!!」
スパンッ!と勢いよく頭をはたく。
突然の怒声に茫然としているお客さんにめちゃめちゃ謝って個室に逃げ込んだ。
「すいません本当にすみません…」
はたかれた頭を押さえながらもまだぷんすか怒っている善逸。
それを引いたような目で見つめるはるかちゃん。
そして店の人に謝る私。
「いいんですよ。頭を上げてください」
「あ、ありがとうございます」
とりあえず注文をすませよう。
騒がせてしまったお詫びに多めに頼もうか。
「はるかちゃん、何食べたい?好きなものを選んでいいよ」
メニューをとってはるかちゃんの前に置く。
結構種類があって、どれもおいしそうだ。
「…えっと、いちご大福と、おだんごたべたい」
「わかった。じゃあ…、苺大福と三色団子、あとみたらし団子と柏餅を一つずつ。善逸はどうするの?」
「じゃ、じゃあ、おはぎで…」
「かしこまりました。すぐにお持ちします」
店員さんの言う通り、すぐに運ばれてきた甘味の数々。
ずっと暗い顔をしていたはるかちゃんも、甘味を目の前にすると少しだけ明るい表情をしてくれた。
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hinata20070219(プロフ) - 私も善逸とむいくんが推しなんです! (2020年5月12日 3時) (レス) id: feb521b802 (このIDを非表示/違反報告)
ひにゃたこ - Alice@夜未さん» 続編?!凄いですね!読むのが楽しみです(*^-^*)いつもいつも素晴らしい作品をありがとうございます(≧∇≦)夜未さんもこの小説も大大大好きですッ! (2019年9月8日 19時) (レス) id: 2190e9e698 (このIDを非表示/違反報告)
Alice@夜未(プロフ) - ADAMASさん» 鬼滅は声優豪華すぎてビビりましたw 夢主の呼吸法は後々明かされる感じになるので、ぜひぜひこれからも読んで確認してください! (2019年9月7日 20時) (レス) id: 309172d3e5 (このIDを非表示/違反報告)
ADAMAS(プロフ) - Alice@夜未さん» 夢主ちゃんの呼吸法が気になってます。後々判明する感じですか? (2019年9月7日 18時) (レス) id: 2e674b225a (このIDを非表示/違反報告)
ADAMAS(プロフ) - Alice@夜未さん» ここから原作沿いになるっぽいですね。続編楽しみにしてます!あとアニメの話ですが柱の声優さんたち豪華すぎますね!甘露寺さんは花澤香菜さんとなんとなく予想してましたがドンピシャで当たった時謎の高揚感がこみ上げてきました笑 (2019年9月6日 1時) (レス) id: 2e674b225a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Alice@夜未 | 作成日時:2019年8月14日 16時