killing night 92 ページ45
リビングに戻るとすぐに目に入ったのはうらたん、志麻くん、坂田。
もう、あいつのことは片付いたということだ。
「な、センラ!Aは…?」
心配そうに聞く坂田の声はどこか焦っていた。
「一命もとりとめたし、今は意識も戻っとる。完全に動けるのはまだ大分先になるかもしれん。」
「よかったぁ…」
安心のあまり坂田は床に座り込んだ。
志麻くんも心なしか緊張がほぐれたような表情になった。
僕はうらたんの表情を確認することなくうらたんの目の前に行った。
こんなこと、誰にだってしたことがなかった。
する予定もなかった。でも、愛するAのためなら、Aの幸せのためなら僕はなんだってやろう。
僕はうらたんの前に立ち深々と頭を下げた。
「Aの元へ行ってやってください。」
「センラ…?」
本人はどんな顔をしているんだろう。僕がこんなことをするだなんて誰も想像していなかっただろう。
「Aが電話で言った通り、Aが愛してるのはうらたんだけです。でも僕も、きっと、志麻くんも坂田も、Aを愛してます。今もこれから先ずっと変わることのない愛情をAに注ぎ続けることを誓います。」
これはきっと僕がAを諦める日。だから全員の気持ちを曖昧にしておきたくない。
「いつか、Aが悲しみに暮れる時、Aの心の雨を晴らせることができるのはうらたんだけです。だから、Aを愛してください。うらたんの全てで他の何よりも。」
言葉を言い終えて頭をあげる。
僕はうらたんの目を一瞬でも離さなかった。
うらたんは一度ゆっくりと瞬きをしてから
「もう、ずっと愛してるよ。」
そう、言った。
「やったら、行ってください。もう止めるもんは何もありません。」
うらたんは覚悟を決めたような表情になり、Aのいる部屋へ向かっていった。
どんな任務の時よりも頼もしい背中だった。
これなら安心してAを預けることができる。
Aが死ぬまで幸せでいられますように。
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霧雲 - 推しのうらたんと・・・?っっは!体が透けている・・・?・・いい人生だった・・・! (2021年8月8日 23時) (レス) id: 85272682ce (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです! (2018年12月21日 2時) (レス) id: 24d7937625 (このIDを非表示/違反報告)
緑のさくら(プロフ) - 終わってしまったああぁぁ!!!!すっごく楽しく読ませて頂きました!表現力が高くて、透明感がある表し方で、もう何から何まで全部好きでした!!表現を学ぶのにとても勉強になりましたね!wお疲れ様でした! (2018年12月21日 0時) (レス) id: cc75d0bcae (このIDを非表示/違反報告)
うめた。(プロフ) - 相原宙さん» 誤字でした!ご指摘ありがとうございます! (2018年12月8日 1時) (レス) id: 6ac6c419a5 (このIDを非表示/違反報告)
相原宙(プロフ) - 74の大切って言った後なんですけど、「うらたの私への大変」って「うらたの私への大切」ですか? (2018年12月7日 22時) (レス) id: bc22572701 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うめた。 | 作成日時:2018年11月15日 17時