殺し屋やってるらしい。【浦島坂田船】 (ページ44)

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killing night 43 ページ44

「A、質問はこれで最後にしますから、これだけ教えてください。Aの先生の名前教えてください。Aをここまで生かしてくれたその人のこと覚えておきたいんです。」

Aの涙はおかげさまで乾ききっていて、Aは静かに頷いた。

『如月翼。』

「は？…センラ…」

うらたんもA以外のみんなが僕のことを真剣な目で見た。

「A、そいつは緑色瞳症候群を引き起こした犯人で、世界的な殺し屋ですよ。」

僕はいずれか自分の手でそいつを殺したかった。
妹の命を奪ったそいつをずっとずっと憎んでいた。
悲しい形とはいえ僕の最愛の人がその命を終わらせてしまっていたとは。

『そう…なんだ。』

Aが泣いたら慰めようと思っていた。
Aが苦しんだら抱きしめようと思った。

とても短い出来事の中で僕は君に触れる為にとても最低なことを考えた。君の気持ちを尊重しない僕だけに幸福感が注がれることを考えた。

でも神は意地が悪い。

さっきまであの先生のことで泣いていたAは自分の目をこんなことに遭わせた犯人が先生だというのに何も動じることがなかった。

だから好かん。
妹も殺すし、Aに必要でもないことを教え込むから。

『センラ、ごめん。』

「謝るところあったかなぁ？」

『だって、センラが殺したかったんでしょう？』

僕は君はあの先生に未練がタラタラあるのかと思っていた。
恋愛感情であの先生を好きと言った訳ではないのはわかっている。
ただただ大切だったことは僕も痛いほどわかるのだ。

「もう、ええんよ。」

だって君が代わりにやってくれたから。

何もかも奪われる。それが心地いい。

でもわかったことがある。
Aの苗字は如月ではない。
如月翼も喉から手が出るほどAがほしくてたまらなかったのだろう。
その相手から殺されるなどなんと幸せなことか。たった一瞬だけでも自分の所有物にしたくて嘘の苗字を教えたのだろう。

だとしたらAの本当の名前は、一ノ瀬Aだ。