待てば海路の日和あり【銀魂】

威圧と脅しは紙一重 ページ2

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「＿＿＿ねェ阿伏兎。

あの女まだ見つからないの？生命力だけの雑魚だヨ？早さも力も体力も干上がったミミズ以下なのに可笑しくない？」


まさか手ェ抜いてるとか言わないよネ。


閉塞感のある宇宙船。膨大に並んだ機械類。
朱色の髪を後ろで編み上げ、一見無邪気な笑みを浮かべたらしき青年＿＿＿神威は小首を傾げた。


齢18にして春雨第七師団団長にまで上り詰めた彼のそれは「威圧」である。パワハラ上司も真っ青なそれに阿伏兎と呼ばれた男は嘆息した。


「ゴキブリだろうがカラカラのミミズだろうが居ねェモンはしょうがねぇだろうよ。危ねェ橋まで渡ったんだぞこちとら。間接的とは言え地球のお巡り殺すのはリスク高いっての」


「怪しいのは「シンセングミ」だっけ。ほら、死者ゼロのグミ」


「そんな食いモンみたいに言われてもな……そこも現在調査中ってよ。乗り込んだ時には身柄移されてたってなっちゃ洒落にもならねぇ。

つーか鳳仙の件で元老がようやっと黙ったと思ったらコレか。俺を過労死させてェんならいっそ一思いにぶっ殺してくれた方が救われんだが」


「幾ら阿伏兎でも動かなくなっちゃったら働いてくれないでショ？駄目じゃん」


「もうこれ以上働きたくねぇって皮肉が何で伝わらねーかね？

あとな団長、前々から言ってるが嬢ちゃんが春雨の回収も待たずに地上に逃げた時点で保証外。幾ら希少種ったって保護されてるとは限らない。

なんせ地球の法ならあんなのとっくに」


阿伏兎が右手ですっぱり首を切る身振りを示したと同時、番傘が彼の手の甲スレスレを切り裂いた。勢い余ったそれはモニターの１つに突き刺さり、ガラスの中から黒煙が上がる。


「阿伏兎、それ回収失敗した時の予防線？俺そう言うの嫌いなんだけど。七師団の責任であの女連れ戻せって命令した元老(うえ)に言ってきなよ鬱陶しい」

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