花よりポテト ページ4
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「帰るなら送るよ? もう暗いし」
「いえ、ほんと、大丈夫なので」
にっこりと笑うこのイケメンが今は悪魔に見えて仕方がない。
いや、本当なら紳士でときめくようなことなんだろうけど、今の私にはもう…。
っていうか、そもそも何でこんなに押しが強いの?
なんで私なの?
まともに話してもいないのに。
ぐるぐるとそんなことを考えていると、大丈夫?と五条悟か手を伸ばしてきた。
反射的に身体を引く。
「あ、ごめんなさ__」
「__…ううん、ごめんね、僕の方こそ」
思わず息が止まった。
ごめんねと謝って申し訳なさそうに微笑むその顔が、少し傷ついているように見えたからだ。
はっ、と薄く息を吐く。
それから湧き上がってきたのは罪悪感。
彼は良かれと思って、親切心からやってくれているのに、私は自分勝手な理由で拒否してしまっていて。
___知らなければ。
知らなければ、きっと私は挙動不審になりながらも彼の申し出を受けていただろう。
だけど、ダメなのだ。
___…ダメ、なんだ。
「…ごめん、なさい。帰ります」
「__…うん、気を付けてね」
私は、五条悟の顔を見ることなく、店を出た。
月が輝く空の下、駅に向かって歩き始める。
何とか、深く関わることなく別れられた安堵感が胸いっぱいに広がる。
それにしても、どうして私だったんだろう。
可愛い女の子は沢山居たのに。
まあ、別に私でなくても良かったんだろう。
たまたま前に居たから、とかそんな理由で口説いてきて、だけど私が素っ気なかったから、落としてやろうと思ったのかもしれない。
だって、あの五条悟が、わざわざ私の気を引こうとするなんて有り得ない。
「…家帰って、飲み直そ」
結局ポテトしか食べてなかったなあ。
ぼんやりと月を見上げ、そんなことを私は思った。
***
「おい、五条、もう帰るのかよ?」
「まあね、あの子帰っちゃったから、残る気分にもなれなくて」
「あの子? …あー、あの地味ーな子。そういや何であの子に構ってたんだ?」
「んー? だって、面白くて可愛かったから。顔、赤くしたり青くしたり。ころころ表情も変わって。僕はあの子が良かった」
振られちゃったけどね!と五条は笑い、残念がる女子たちの声を背に、店を出ていった。
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5 - え、ここで、、おわり、、!?!?いつか続き書いてくださいね!?!? (7月9日 16時) (レス) @page15 id: e73ffa8a04 (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - 続き読みたいなぁ…( とても面白かったです!!! (2022年10月5日 20時) (レス) @page15 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - 続きが気になる!楽しみにしてます! (2021年10月19日 22時) (レス) @page15 id: f89089966a (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - え?イケメェン。 (2021年5月11日 0時) (レス) id: 262b3e9786 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - 山田○○ですって言ったところから、ん?って思ってたらまさかの山田妹だったwwとても面白いです!! (2021年4月7日 14時) (レス) id: de8b53d880 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨ノ | 作者ホームページ:
作成日時:2021年3月20日 10時