君は、恋人ちゃん。 (ページ1)

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シェアハウスで暮らせるのも残りわずかで土曜日のその日はタルーレでバイト中のA以外が朝からせっせと部屋の整理を始めていた。昼前になっても俺は服の整理が終わらなくて廊下に出ていると、隣の部屋から萩ちゃんが出てきた。

慧「俺、家具以外は終わったわ」

美「まじ？早いじゃん」

萩ちゃんは得意げに微笑んで、使い切れなかったダンボールを「はい」と俺に投げてきた。

美「さんきゅ」

慧「美勇人、山ほど服あるでしょ」

美「まじそれ」

慧「この期に断捨離したら？」

美「だよな」

俺と萩ちゃんが廊下でそんな会話を繰り広げてるとながつが階段を駆け上がってきて、「全然片付かないんだけど！」とゴミ袋を抱えて部屋に入っていった。その様子を見て萩ちゃんがながつの部屋を覗き込むと「やべーな、お前の部屋」と笑った。

怜「何から片付けていいかわかんない」

慧「特別モノが多いわけでも無いのに、こんな散らかる？(笑)」

美「(笑)」

そう口にした萩ちゃんは「じゃあ頑張れよ～」と俺らに手を振ると「昼飯作って待ってるわ」と階段を下っていった。

怜「お腹空いたー」

美「頑張って片付けよ」

怜「そうだね」

そんなことを話していると顕嵐が部屋から出てきて電話で話しながら、抱えたダンボールを廊下に出した。

顕「ゲームとか漫画だけ先にそっちに持っていく」

美「・・・？」

顕「服は1週間後のがいいんじゃない？じゃないとサクラん家のリビングがダンボールだらけになっちゃうし」

怜「いいなぁ、同棲」

ながつがそう口にしたのを聴いた顕嵐はニヤッと微笑むと「じゃあ、あとでそっち行くわ」と電話口でそう言うと、「いいでしょ」と可愛く口角を上げた。

怜「サクラちゃんのヒモになっちゃうね、顕嵐」

顕「めっちゃ甘えちゃう」

美「サクラちゃん就職するんでしょ？お前掃除とかちゃんとやってあげろよ」

顕「そこはね、ちゃんとする」

コクッと頷いた顕嵐は俺をじっと見て「そっちもちゃんとしないとネーチャンに追い出されちゃうよ？(笑)」と笑った。

怜「居候だからね(笑)」

顕「なんで一人暮らしにしなかったの？」

美「だってねーちゃんの家が職場と近いんだもん」

まぁそれもそうか、と言う顔で「ふーん」と数回頷いた顕嵐は「連れ込むんだったら一人暮らしのがいいと思うんだけどね」と鼻で笑うと意味深に視線をAの部屋に向けた。