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「何か、大事なこと忘れてない？」
「わ、忘れて、ません」
明らかに目を泳がせる彼女と、目を無理矢理合わせようとする。びくっとした彼女は、ぎゅっと目を閉じて発せられる言葉を待つ。降ってきたのは言葉ではなく、愛の印。
逃がさないと言わんばかりに、腰に手を回し捕らえて離さない。一日会えないだけでこんなにも、辛いものだとは思わなかった。彼女がどんな意味が合って、避けていたのかは分からないが今触れられるこの時間があればいい。それだけでいいのだ。
「い、泉さ…」
「今日一日避けてたでしょ、これくらい我慢して」
それだけ言って、再び口付けを落とす。今までこんな風にキスをしたことがなかったので、彼女は少し驚き、焦せっている。ふらっと倒れそうになり、すぐに瀬名が支える。流石にやりすぎたかもしれない、と口を離した。
「泉さん、お誕生日おめでとうございます」
「今、このタイミング？！」
鞄の中に隠していたらしい誕生日プレゼントを差し出す。中を見てみると、至って普通のタオルのように見えるが。
「あっ、これ」
「気づいちゃいましたか？」
携帯を見ながら、ぼそっと欲しいと呟いていたタオルであった。いつそんな聞き耳を立てたのか検討もつかないが、こんな気の利いたプレゼントをくれるなんて、思ってもいなかったので、かなり驚いている。そんな彼の姿を見て、クスクスと笑う。
「絶対に一番最初には言えないと思ったので、一番最後に言いました」
忘れてるとか考えてた自分が本当に馬鹿らしく思えてきてしまった。ちゃんと彼女は、自分のことを考えていてくれたのだ。
愛おしい彼女に、もう一度優しくキスを落とした。
「ありがとう、A」
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作者名：あんさんぶるParty！ x他3人 | 作者ホームページ：なし
作成日時：2017年10月31日 20時
