〇≠無の証明Ⅳ－４ (ページ32)

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事件の全容ページ32

病院についたら、普段のどかな街なのに人で騒然となっていた。

地元の警察が下がって！と人払いをしている。
二宮さんと相葉さんの姿を見つけて私達が近づいていったら、二宮さんがおかえり、と言った。

「明日、尾野さんのお母さんの葬儀なんだって……」
「……おばあさん、亡くなったんだね」
相葉さんが寂しそうにそう言った。

「そっか、……で？マサトシは家に帰ってた？」
二宮さんが松本さんに聞く。

「うん」
「そっか」

松本さんと短い会話で切り上げた。
これだけで伝わるのは長年の付き合いだからだろう。

「こっちはどう？」
「うん。翔ちゃんの予想通り、白骨がザクザク出てきてる」
「ザクザク……」
「翔ちゃんの仮説によれば身元はすぐにわかると思う」
「誰……」
「あとで謎解きするみたいよ、探偵みたいね」

二宮さんがフフフと笑った。

「で、その櫻井さんは……」
「係長と一緒に河東の取り調べ見に行ってるよ！大丈夫かなぁ」

相葉さんにどういうこと？って松本さんが聞く。

「河東、翔ちゃんのこと好みじゃん？」
「……ああ」

松本さんが苦笑した。

「会議室に戻る？」
私がそう言ったら二宮さんがムスッとした。

「ん？」
「会議室は公安に取られたよ！」
「えー！じゃあ私達はどこにいけば」
「居場所がないからこんなクソ暑いのにここで鑑識さん見てんだよ……」
二宮さんが怒ってる。

「待合室は……」
「あんなとこ行ったら、色々聞かれんじゃん」

「まぁまぁ、もうすぐ翔ちゃんも帰ってくるから……」

倒壊してしまった旧館の前で私達が行く宛もなく立ちすくんでいたら、差島さんが私の肩をポンポンと叩いた。

「こんにちは、お疲れ様です」
「あ、差島さん」
「えらいことになりましたね……河東さんが……はぁ……なんでこんなことに……」
「お察しします……」
「あの、院長がお呼びなので、一緒に来ていただいていいですか？」
「はい」

私達が病院に向かおうとしたらちょうど櫻井さんと大野さんが帰ってきた。中間さんも一緒だ。

「あ、大野さん、院長がお呼びらしくて」
「うん、だから戻ってきたの」

「行きましょうか」
差島さんが歩き出す。

私達がぞろぞろ院長室に向かってたら、周りがヒソヒソと話してる。
あの人たち刑事だよね、みたいな声。

院長室をノックしたら、中から例の女性がドアを開けた。

「どうぞ」
差島さんが女を見て不倫女、と思ってる。

ほう。
不倫はみんな知ってるのか。