真似する女 ページ7
そんなこんなで。
気づいたら三ヶ月後、開発部のデータ入力を担当する派遣になった。
やっぱり、このデータ作り直した奴は誰だって噂になったせいだ。
派遣でまぁまぁ使える奴がいるという妙な噂は、いつも深刻な人手不足でデータの処理が追いつかない部署にまで流れてしまった。
開発部と併設してる開発企画部。
早くプレゼンしたいのにそれが必要であるという裏付けのデータをまとめる時間が惜しいという研究者にありがちなパターン。
殆どラボにこもりきりで、開発企画部の部署に顔を出すのはここにいる所謂データ入力係に資料まとめてくれと言いに来るときくらい。
開発部が「資料まとめといて」と言ってくるのはだいたい他社の販売実績とか、マーケティングの内容とかをデータ化する仕事。
奇しくも辞表を叩きつけたあの日々と似たような同じ仕事をする羽目になった。
嫌いじゃなかった。
むしろ好きだった。
しかし。こんなの派遣にやらせていいのか？
と思いつつ、今度は余計な口出しはしないと決めて黙々とカタカタやる日々。
「麻倉さん、おやつにしない？お土産いただいたのー」
「わぁ！いいんですか？嬉しい、甘いもの欲してました！お茶淹れますね！」
前の派遣先で出会ったハードボイルド女子の真似をすることによって、人間関係も良好だ。
「ネイル、よく見たらすごくかわいいー」
お茶を淹れてたら企画部の女の子がそう言ってきた。
「雑誌で見て真似しちゃいました」
「その雑誌もしかして私も見たかも」
女子トークに付き合えるスキルゲット。
「いつもきれいにしてるよね」
「山内さんの方こそいつも髪型とか素敵。朝から大変じゃないですか？」
「私ほんとはウエディングのヘアメイクになりたかったの、だから早起き苦にならないの」
この話が楽しいかどうかはよくわからん。
けどまぁ、ニコニコ笑ってたら少しは楽しい気持ちになってくるから不思議だ。
「お茶入りました」
給湯室から企画部に戻ると皆が目を上げて微笑んだ。
「おーありがとう、麻倉さん」
「美人が淹れてくれると美味しいよな」
「チーフいつもそれ言うー！」
楽しいな。
あのハードボイルド女子も、恐らく人の笑顔を見るのは好きだったんだろうな。
皆にお茶を配って、一番最後に残ったお菓子を頂いて、その箱をバキバキに潰して捨てていたちょうどその時。
櫻井さんが総務から用があって開発部に来ていたことなんてぜんぜん、気づかなかった。
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susakinyanko(プロフ) - 駅前のハトがツボ過ぎます。死ぬかと思った笑 (12月15日 15時) (
レス) @page41 id: 9ec95cf02d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 面白い！眠気がとんだよー！よしのさん好き(^^) (2020年1月30日 10時) (レス) id: 12e1cc5b48 (このIDを非表示/違反報告)
花乃(プロフ) - こんにちは。やっぱりよしのさんのお話好きだー！！と叫ばせていただきます(*´∇｀*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 95a7b7882e (このIDを非表示/違反報告)
ちこ(プロフ) - こんにちは。よしのさんの新作ですね。ゴルゴの回まで一気読みしてしまいました。とっても楽しいです！更新楽しみにしています。 (2020年1月16日 16時) (レス) id: c3adc4cd0a (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - もう、さすがの一言です。やっぱり面白すぎます！最高です！ (2020年1月16日 1時) (レス) id: 586c2240fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年1月6日 0時
