探る女 ページ35
開発企画の中にスパイは居るだろうか？
周りを見渡す。
もしいるとしたらまだ騒ぎになってないだけでもう既に重要機密は盗まれてるかもしれない。
けど櫻井さんは新開発のデータではなく営業系と言っていたからこの中で一番怪しいのは……私だなやっぱり。
営業のデータとかも会議の資料に使ったりするから簡単に情報を入手できるし。
私に目をつける櫻井さんが正しい。
終業時間になって会社から出ようとしていたら、後ろから私を呼ぶ声がした。
「ねぇ麻倉さん、今日暇？」
石田くんだ。
ずり下がるメガネを持ち上げながら私の方に近づいてくる。
「今日は予定があって……」
「デート？」
「そんなんじゃないよー」
「相手は櫻井さん？」
「うん」
石田くんが複雑そうな目をした。
「俺実はちょっと麻倉さんに相談乗ってもらいたいことがあって」
石田くんが声をひそめる。
「……なに？」
「ちょっとだけいい？」
「……え？どうしたの？」
「こっち」
腕を引っ張られて、会社を出てすぐ目の前にある公園の方に連れて行かれた。
「私急いでるから……」
「……誰もいないかな」
周りを見渡す。なんだなんだ。
「うん……」
「俺見ちゃってさ」
「何を？」
「営業の黒田さん、知ってる？」
「……うん、名前は……」
「俺営業にいたとき……ほら俺派遣で影薄いからかな、存在に気づかれなくて。そしたら黒田さんがなんか怪しい動きしてて」
「どんな？」
「課長の席のパソコンにUSB差し込んでるとこ見ちゃってさ」
「……えっ？」
石田くんの顔を見る。
「こういうことって誰に相談したらいいかわかんなくて……会社の内部の人に言いづらいじゃん……」
「……そうだね」
「悪いことに使ってなかったらいいんだけど……あの人結構いい人なんだよ……」
「……」
石田くんがため息を吐く。
「あと、一つ気になってるのは。黒田さんと開発と中西さんが仲良しで……」
「……」
「今日もラボの前で怪しくなかった？」
確かにそういえば。
なんであんなとこにいたんだろう。
「中西さんってラボのパスワード知ってる？」
「どうなんだろう……一部の人しか知らないとは聞いてるけど」
「なのに麻倉さんは知ってるの？」
石田くんが驚いて聞き返す。
「うん。ラボの空調の修理をお願いしたときに業者の方をご案内するよう頼まれて……そこから色々雑用を頼まれたりしてるから」
「……すごいね」
石田くんが感心したように呟く。
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susakinyanko(プロフ) - 駅前のハトがツボ過ぎます。死ぬかと思った笑 (12月15日 15時) (
レス) @page41 id: 9ec95cf02d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 面白い！眠気がとんだよー！よしのさん好き(^^) (2020年1月30日 10時) (レス) id: 12e1cc5b48 (このIDを非表示/違反報告)
花乃(プロフ) - こんにちは。やっぱりよしのさんのお話好きだー！！と叫ばせていただきます(*´∇｀*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 95a7b7882e (このIDを非表示/違反報告)
ちこ(プロフ) - こんにちは。よしのさんの新作ですね。ゴルゴの回まで一気読みしてしまいました。とっても楽しいです！更新楽しみにしています。 (2020年1月16日 16時) (レス) id: c3adc4cd0a (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - もう、さすがの一言です。やっぱり面白すぎます！最高です！ (2020年1月16日 1時) (レス) id: 586c2240fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年1月6日 0時
