王子の友人(01/13) ページ30
「で。どうです？私はスパイでしたか？」
「違う、と思う」
「……」
「違うと信じてる」
キレイな目。
こんな時にそんなことを思う自分はどうかしてる。
「正直昨日の食事までは疑ってた、昨日あの男と情報交換してただろ」
ああ、むしろ逆に情報仕入れてやったけど。
吉田くんトコトン馬鹿だ。
「そう見えた?」
「……」
「私がスパイだったらどうします？サクラグループが作ろうとしてるもののデータを他社に売りつけてたり？」
「……」
「でも証拠がないのに私を追い詰めたから刑事事件にはできませんね」
「A……」
「やり方間違ってますよ、こんな問い詰め方ならいくらでも誤魔化せる」
櫻井さんが私のギリギリまで近づいて真意を探るかのように私の目を見下ろした。
背中は棚。逃げ場がない。
「Aは違うよ……違うだろ？」
「……どうでしょう」
櫻井さんが苦笑して、口を開いた。
「それに……漏れたのはそういう情報じゃない」
櫻井さんの顔を見上げたら、櫻井さんが私を射抜くように見ている。
「どんな情報？」
「営業だよ。顧客情報の流出や、取引先との金額の交渉なんかを流してるやつがいる」
「……」
「まだ混乱や大きな損失がない理由は、安価やいい条件での取引より、うちの企業に対する信頼と実績で勝ってるだけ」
「うん」
「けどそれを大手にやられると顧客や取引先をごっそり持っていかれる可能性もある」
櫻井さん、いつもホワホワしてたのは完全演技だったのね。
今その欠片も感じない。
「私にこんな話していいの？誰が聞いてるかわからないこんな場所で」
「うん。だからできたら場所変えて話したいんだけど」
「……」
「だから昨日外で……お前の正体暴いてやろうかと思ってたのに……楽しくてつい普通のデートしちゃったじゃねーか……」
櫻井さんがムー！って顔をした。
腹立たしいほど可愛らしい。
「楽しかったの……」
「うん」
櫻井さんがまたしょんぼりした。
こういう表情豊かなのは本質なんだ。
「でももうお友達にはなれませんね」
私がそう言ったら、櫻井さんがとても悲しそうな顔をした。
胃がキリリと痛くなったのは気のせいだ。
昨日一袋食べちゃったあたりめのせいかも。
「Aはスパイじゃねーよな？」
「どうでしょう」
私がとぼけたら櫻井さんに睨まれた。
「A」
「どちらにしても疑われたってことなので櫻井さんとはもう話したくありません」
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susakinyanko(プロフ) - 駅前のハトがツボ過ぎます。死ぬかと思った笑 (12月15日 15時) (
レス) @page41 id: 9ec95cf02d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 面白い！眠気がとんだよー！よしのさん好き(^^) (2020年1月30日 10時) (レス) id: 12e1cc5b48 (このIDを非表示/違反報告)
花乃(プロフ) - こんにちは。やっぱりよしのさんのお話好きだー！！と叫ばせていただきます(*´∇｀*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 95a7b7882e (このIDを非表示/違反報告)
ちこ(プロフ) - こんにちは。よしのさんの新作ですね。ゴルゴの回まで一気読みしてしまいました。とっても楽しいです！更新楽しみにしています。 (2020年1月16日 16時) (レス) id: c3adc4cd0a (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - もう、さすがの一言です。やっぱり面白すぎます！最高です！ (2020年1月16日 1時) (レス) id: 586c2240fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年1月6日 0時
