シンデレラ王子と女 ページ28
女の子はまだ櫻井さんに抱きついてる。
「あ、もう大丈夫だよ……」
櫻井さんが優しく女の子に肩をぽんぽん、と叩く。
女の子が櫻井さんに抱きついたまま櫻井さんを上目遣いで見上げる。
櫻井さんありがとうございます……と言って震えて離れない。
「……」
腹の底からオイッ！て声が出そうになった。
ありがとうって言われるべきは私だ！
「……では続きはご自由に、私はいないものと思ってください。モブキャラは撤退しますのでどうぞごゆっくり」
頭を下げて開発部の棚に戻る。
さ、今見たことは忘れて！
えっと、企画書はどれよ。これか？
踏み台に乗って一冊取り出す。
ホコリまみれ。ケホケホ。
違った！じゃあこれか？
これでもない！背表紙に何か書いてよ！
イライラしながら探してたら、背後から、A、って声がした。
「……さっきの彼女は？」
振り返らずに聞く。
「先に戻ったよ」
さっきワーワー言ってた人とは思えない落ち着いた口調に苦笑する。
「告白されるところだったから助かった」
「……お礼言う相手間違えてますよ」
「え？」
「告白を邪魔したのは私ではなくてイエユウレイグモ」
櫻井さんが苦笑した。
「A」
「なんですか？今探し物してるんですけど」
「……開発部の棚、奥にもう一つあるよ。平成10年頃までは企画部と開発部が別れてたんだよ、探してるのは企画部の方かもしれない」
「それだ……ないと思った」
踏み台から降りようとしたら、櫻井さんがスッと手を差し伸べた。
舞踏会でエスコートしてくれる王子さながら。
「私の手汚いですよ」
「お互い様」
半ば強引に私の手を握って、支えてくれた。
マジで王子。
スマートすぎる。ホコリまみれのシンデレラ王子だな。
「あのさ……」
「なんですか」
我ながら冷たい。すごい冷たい。
まるで好きな人に振り向いてもらえなくて拗ねてるみたいだな私。
「話聞いて……」
「だから何」
私に気圧されたのか、櫻井さんが目を丸くして、はは、と短く笑った。
「Aには、ホントのこと言うべきかもね」
「……どういうことですか」
櫻井さんの態度と表情が少し変わった。
「……はあ。企画部はこっち」
なんと！
櫻井さんが私の襟首を掴んだ！
親猫が子猫を咥えて運ぶみたいな！
「え！ちょっと！」
「ここだよ、早く探せ。付き合ってやるよ、何だ？何探してる？」
慌てて乱れた髪と服を整える。
え？どういうこと？え？
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susakinyanko(プロフ) - 駅前のハトがツボ過ぎます。死ぬかと思った笑 (12月15日 15時) (
レス) @page41 id: 9ec95cf02d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 面白い！眠気がとんだよー！よしのさん好き(^^) (2020年1月30日 10時) (レス) id: 12e1cc5b48 (このIDを非表示/違反報告)
花乃(プロフ) - こんにちは。やっぱりよしのさんのお話好きだー！！と叫ばせていただきます(*´∇｀*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 95a7b7882e (このIDを非表示/違反報告)
ちこ(プロフ) - こんにちは。よしのさんの新作ですね。ゴルゴの回まで一気読みしてしまいました。とっても楽しいです！更新楽しみにしています。 (2020年1月16日 16時) (レス) id: c3adc4cd0a (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - もう、さすがの一言です。やっぱり面白すぎます！最高です！ (2020年1月16日 1時) (レス) id: 586c2240fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年1月6日 0時
