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私達全員の目が看護師に吸い寄せられる。
「違うって言うてるでしょう」
「ミサキさ……」
「欠陥品なんて……」
二人の関係性が一瞬垣間見える。
生きるのに疲れた美しい青年と、看護師として自信を失っていた看護師が出会って癒やし合って恋に落ちてゆくパターンの様子。
「ミサキさん……」
「ユウくん……」
「はい。二人が出会って心を寄せ合うに至った経緯は申し訳ないけど今回の事件とは関係なさそうなので省略させてもらうとして」
櫻井さんが無慈悲にもそう言って私達が一瞬、鬼だ！と思ったのが聞こえたらしくチラッと睨まれた。
「で、二人はお付き合いされることになったと。入院中の身でデートするわけにもいかず、でも病院内で二人で過ごす場所もなく、旧館に行ったってことかな？」
櫻井さんのロジカルな仕事脳と切ない恋愛話の親和性のなさときたら。
情状酌量の余地もないというか。
「僕達が二人きりで会えるのは夜だけで……しかも僕はそんな遠くまで出かけるわけにもいきません」
「うん」
「精々、日が落ちてから、病院周りを散歩するくらいです」
「外出とか……外泊とかもできない感じだったのかな」
「僕の自宅はこの辺ではないので……外泊はなかなか……」
「実家はどちらですか」
「島根です、ここは母方の祖母が住んでいるのでこちらに来ました」
「なるほど」
二宮さんが櫻井さんにiPadを見せてる。
「タカノユウキ、22歳。島根県出身……標準語なんだね」
「幼い頃から……話し相手がいなくて……テレビや本で会話を覚えたものですから……」
「ご両親は……？」
「僕が幼い頃離婚して母は新しい家庭があります。あちらには小学生の息子さんがいるみたいです。父の顔は覚えてません」
「……」
櫻井さんが、凄絶な孤独の叫びはこれか、って心の中で呟いた。
そりゃ恋愛にのめり込んで周り見えなくなるはずだな、みたいな論理的な考え方にズッコケそうになる。
「ある日、廃病院の裏を散歩していたら、今まで雑草に隠れて見えなかったけど、中に入れるようなフェンスに穴があるのを見つけました」
「雑草に隠れて見えなかった……？」
「はい。取り壊そうとして業者が中に入って雑草を刈り取ったところでまた重機が故障したみたいで。工事が止まったんです」
公安が入る羽目になった工事の妨害の件だ。
「……すみません！幽霊騒ぎの原因の一端は私です」
看護師が突然頭を下げてギョッとした。
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みつき - この章はにのと主人公ちゃんの絡みが好きなんです！これ読みたさにもう何度読んだことか！！ (2020年8月8日 7時) (
レス) id: 6d571bc65d (このIDを非表示/違反報告)
みに - こんにちは！もう無の証明4周目です！このお話本当に大好きで続編やビハインドストーリーも希望します！名前のところがAと表示されて変換出来ない状態なのでお知らせに参りました。お直ししていただけると嬉しいです。 (2020年6月2日 15時) (レス) id: 5d98a5a6f1 (このIDを非表示/違反報告)
nyaruru(プロフ) - 楽しみ過ぎてなかなか読み進めれなかったです。更新待ってました！と喜んでいたら、むか〜し高校生くらいのときに不思議だった話が出てきてびっくり！色の見え方や聞こえ方の話です。家族に話してみても共感されなくって、まさかここで出会えるとは感動しました (2019年11月8日 4時) (レス) id: d437e89628 (このIDを非表示/違反報告)
Chisa(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます！ (2019年11月4日 4時) (レス) id: 660ab80a22 (このIDを非表示/違反報告)
ぱん(プロフ) - もう本当すごいです。情景がありありと浮かぶし、実写化してほしい。 (2019年11月2日 20時) (レス) id: 3159ad2d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年6月19日 17時
