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二宮さんの感情が伝わってくる。
どうして俺は除霊しか出来ないのかなぁ、浄霊ができたらいいのに。って。
言うなれば、浄霊は霊を説得して成仏させてあげる方法で、除霊は強制排除、だ。
二宮さんについてる女神様は二宮さんに仇なす邪悪な者は消えてしまえという感性だ。
例えば。
お腹が空いて死にそうな子供が二宮さんのおにぎりを盗んだ場合と、二宮さんを殺してやろうという悪意との区別がない。
どちらも日本刀でバッサリ、消えろ、だ。
この子は許してあげて、でもこっちはお願いという判断はおそらく不可能なんだろう。
なら斬りつける前に、こっちだよ、って道を教えてあげるにはどうしたら。
ちょっと待って。
私なんでこの人と抱き合ってんだ？とはた、と気づいた。うん、もう落ち着いた。平気。
「……ありがと、なんとなく落ち着いた」
「なぁA？」
「はい？」
「なんで女神様はお前のこと静電気攻撃しないの？」
凄い真顔で聞いてきた。
顔が近い。
うわお。きれいな目。お肌ツルツル。
「さあ？」
「キッタネー顔しやがって」
二宮さんがタオルで私の顔をまたゴシゴシした。
「あー、俺のTシャツにファンデーションとグロスついちゃってんじゃん」
「ごめん……」
「立てる？」
「うん」
よいしょ。
二宮さんが私の手を引っ張って立たせてくれた。門に向かって歩き出す。
「あれかな、Aは男として認識されたんだな、きっと」
「……それはそれで腹が立つな……」
「それともまさかね」
「ん？」
「俺、力弱まってる？」
二宮さんが瞳をゆらりと揺らす。
「女神様がいなくなったってこと？」
「いや、居るんだよ、それはわかるんだけど」
「うん」
「女神様、出てくるなって思うときは出てこなくなったんだよね」
「ああ、それなら、逆じゃない？」
「逆？」
二宮さんが病院の中をチラッと見て、誰もいないね、って呟く。
「うん……逆に二宮さんの力が強くなったって可能性は？」
「……」
二宮さんが立ち止まる。
「今まで勝手に乗っ取られてたんでしょ？」
「うん……」
「私、前のとき……二宮さん抱っこして泣いてたとき！」
「あは、うん」
「あのときどうやっても女神様が退いてくれなくて大変で……」
二宮さんが私を見下ろす。
「ねぇ、A、よかったね、女神様に乗っ取られなくて」
「……」
「多分お前の魂喰うくらい簡単だったと思うよ、神様なんだから」
絶句したまま二宮さんの透き通った目を見返す。
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みつき - この章はにのと主人公ちゃんの絡みが好きなんです！これ読みたさにもう何度読んだことか！！ (2020年8月8日 7時) (
レス) id: 6d571bc65d (このIDを非表示/違反報告)
みに - こんにちは！もう無の証明4周目です！このお話本当に大好きで続編やビハインドストーリーも希望します！名前のところがAと表示されて変換出来ない状態なのでお知らせに参りました。お直ししていただけると嬉しいです。 (2020年6月2日 15時) (レス) id: 5d98a5a6f1 (このIDを非表示/違反報告)
nyaruru(プロフ) - 楽しみ過ぎてなかなか読み進めれなかったです。更新待ってました！と喜んでいたら、むか〜し高校生くらいのときに不思議だった話が出てきてびっくり！色の見え方や聞こえ方の話です。家族に話してみても共感されなくって、まさかここで出会えるとは感動しました (2019年11月8日 4時) (レス) id: d437e89628 (このIDを非表示/違反報告)
Chisa(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます！ (2019年11月4日 4時) (レス) id: 660ab80a22 (このIDを非表示/違反報告)
ぱん(プロフ) - もう本当すごいです。情景がありありと浮かぶし、実写化してほしい。 (2019年11月2日 20時) (レス) id: 3159ad2d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年6月19日 17時
