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鍵を貰ってお茶を買ってから旧館に入ろうと病院に入ったら、涼しくて二人で思わずふぅ、と息を吐いた。
「暑かった……」
「うん……」
「もしかして旧館ってエアコンつかないよね？この猛暑の中で捜査ってやばくね？」
「下手したら私達が霊になるよね」
「それ」
松本さんと待合室のソファーに思わず座る。
「尾野さんのお母さんにはマサトシくん憑いていなかったの？」
私の言葉に松本さんがふっと眉を寄せる。
「子供の霊は心がきれいだからさっさと成仏するか、道がわからなくて迷子で泣いてるかのどっちかでさ」
「……じゃあ、もういないのかな……」
「まぁ特殊な子もいるけどね。何かを伝えようとして動けないパターン」
「前の……ほら、花の村のときのサキコさんみたいな？」
「彼女は子供じゃなかったけどね、でも母親が心配で近くにいたから、まあそんな感じ」
「そっか……」
「……」
「見えるの辛いときもある？」
「俺にはこれが日常だからね、ただ病院には自分の体に戻ろうとして戻れなくて途方に暮れながら自分を見下ろしてる人に会う確率多いからちょっと苦手」
「じゃあ早く捜査終わらせて帰ろ」
そう言ったら松本さんが微笑んだ。
「そろそろみんなのところに戻ろう」
私達が立ち上がったら大野さんが丁度エレベーターから降りてきた。
「あ、大野さん」
「行くよ」
「どこに」
「旧館」
思わず松本さんと目を合わせる。
「暑いよ……」
「当たり前でしょ」
大野さんがスタスタ歩いていく。
後ろから皆も来た。
松本さんと二人で慌てて水とお茶を買ってカバンに詰め込む。
「捜査は明日から。今日は中を見るだけね」
「はーい」
相葉さんと櫻井さんが、可愛い看護師さんにペコッと頭を下げられて、デレデレしてる。
今のうちにデレデレしとけばいいよ……外は地獄の暑さだよ……！
松本さんが一気に一本ポカリスエットを飲み干してゴミ箱に捨てた。
「A、尾野さんの話はまた後でホテルに帰ってからゆっくり報告するとして」
「うん」
「院長の話も聞きたいけどね、それより少し気になることがある」
「何？」
「事務長の河東さんの黒い影の正体」
「……ああ、うん」
「そんな嫌そうな顔すんなって！」
松本さんが吹き出した。
二宮さんがフラフラーと私達に近づいてきた。
「俺暑いとバグるからここで待ってていい？」
「ほら行くぞ」
「あーいやだあー」
再び旧館に向かって一歩踏み出した。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年8月10日 13時
