入所日 ページ43
はっ！顔が近い！耳が聞こえづらくなってるからだ！
半分こした揚出し餅をぱくついてたら、二宮くんと目があった。
……睨まれてる！怖いよ！
目を合わさないようにしてたら、ハンバーグが来た。
「うまそうー」
「俺も頂戴」
二宮くんがわざわざこっちに来た！
「……おお、いらっしゃい」
生田くんが笑って言う。
「俺と半分こしてよ、Aは女同士でわけあっとけば！」
「……」
「よいしょ」
私と生田くんの間にわざわざ入ってきた！
「そっちつめて！」
「なんでわざわざここに」
「ハンバーグ食いたいの！」
「ニノもハンバーグ好きだもんな、俺ほどじゃないけど」
「いや、俺のほうが好きだね！」
「いーや、おれだね」
なにそれ。
ハンバーグをもぐもぐやってた二宮くんが、ちらっと私を見た。
ん？
「そんな真ん……ったら……られな……しょ、バカ」
「……？」
二宮くんが私の耳に直接囁く。
「そんな真ん中座ったら抜けられないでしょ」
「……ああ、ほんとだね」
「顔出さなきゃって俺が言って残念そうにしたの誰よ」
「そうだ」
「んもー……また耳が……聞こえないみたいだし」
「うん。あ、そういえば。この前ご飯行ったときね」
「うん」
「二宮くんがなんか言ってたの聞こえなかったんだけどね、ほっぺムギューしたときなんて言ったの？」
「ああ、あれね。知りたい？」
「うん」
二宮くんが私の肩に重なるような感じで座り直して、耳の後ろから囁いた。
「罪悪感やばい、って言ったの」
「……なんの？」
「……例えば今も」
「うん」
二宮くんが私に手を重ねた。
指が絡む。
「……え？」
恥ずかしくて慌てるけど二宮くんが平気な顔してる。どうしよう。どうしよ。
「二宮くん？」
「なんにも知らない可愛こちゃんを誘拐する悪いおじさんになった気分」
「悪いおじさん」
「そそ。悪いおじさん。誘拐しちゃうぞ？」
「誘拐……」
「帰ろっか？」
「うん」
「……すみません！みなさん！この子ね、息が苦しいんだって！途中で行き倒れたらまずいから送ってくるよ！俺ご近所だし！」
二宮くんが一気にまくし立てて私の手を引っ張った。
立ち上がって企画部の皆さんを見たら、櫻井くんと大野さんと松本さんが3人同じようにほっぺパンパンにしてハンバーグをもぐもぐしながら、手をあげた。
おつかれ、って意味？
「じゃあニノは帰って来なさいね！」
「はいはい」
相葉くんの言葉に、二宮くんが面倒さそうに答えた。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月17日 4時
