な ページ31
「え、どうして？」
「だって二宮くんって社内一可愛いよね？」
「社内一っ？」
「……うん」
相葉くんが、あは、って笑った。
「社内一可愛いから一番嫌ってた？」
「木下にちょっと似てない？」
「全然似てないよ、っていうかもしかしてさ、Aちゃん、ホントは木下のこと、ちょっと好きだったんじゃない？いじめられる前」
「……え？やだ」
「だからショックだったんじゃない？イケメンが嫌い、ってその分類の基準がわけわかんないんだよ、澤部は平気でしょ？」
「うん」
「升野は？」
「好き」
「井上は？」
「嫌いじゃない……ナルシストで面白い」
「あはは！翔ちゃんは？」
「あ、ちょっと苦手かな、自信あふれてる感じが……そういうタイプが……」
「で、一番苦手なのは？」
「二宮くん」
「それはどうして？」
「ぶっちぎりのイケメンだから」
「俺さぁ、ぶっちぎりだいすき！って言ってるように聞こえるんだけど」
「……」
「嫌いなのってもしかして、逆じゃない？一番嫌われたくない人を、先に拒否してるんじゃない？まるで意識してるように見えるよ」
相葉くんが、黒目がちの目をキラキラさせて笑った。
「……そうかも……」
「二番目に嫌いなのは誰？」
「相葉くん……ごめんなさい……」
「それは逆に光栄かも……俺はAちゃんの事好きだよ、いじめないし、守ってあげたいと思ってるよ」
「……」
「俺は絶対、Aちゃんを悲しい目に遭わせない、誓うよ」
「……」
「どう？俺のことまだ怖い？」
「……怖くない……」
「よかった！」
「……ごめんなさい」
「いいよ！」
会社の近くのコンビニの前に来たら、ちょうど二宮くんがコンビニから出てきた。
どきん。
心臓が破れるかと思うくらい鳴った。
「あ、ニノ！」
相葉くんが手を振った。
「……っす……」
ダルそうな二宮くん。コーヒー持ってる。
「Aちゃんと仲直りしたよー！」
相葉くんが無邪気にそう言った。
「よかったね」
「ニノが言った通りだったよ！」
「じゃあもう俺いいよね、相葉さんが仕事しやすくするために、A攻略してただけだから」
……え？どういうこと？
二宮くんが私をちらっと見た。
「相葉さんが仕事しづらそうなの嫌だったからAと仲良くなる方法探ってただけ」
「……」
「担当変わってね？俺、Aもう無理だ。ばいばい」
「ニノ、待てってば」
相葉くんが追いかける背中を見たまま、私はそこから動けなくなった。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月17日 4時
