ご ページ19
お会計、割り勘にするって言ったのに今日無理矢理誘ったの俺だしって二宮くんがほとんど払ってくれて私、小銭しか払ってない。
「ごちそうさま」
「楽しかったね」
美味しかったね、じゃなくて、楽しかったねって言ってくれたのがなんか嬉しい。
「うん、楽しかった！チーズフォンデュ美味しかったよ、一人じゃやらないもん」
二宮くんが、酔いを冷ましながらゆったりと歩く。
「うん、あれ美味かった」
「相談とかのるって言ったのに何にも聞けてないね」
「相談ってのはさ、本人の中ではもう答えが決まってるから、その決まった答えに向かって歩きなよ、って言ってあげることだと思うのね」
「……」
「だから多分、側にいて話聞いてくれた時点で、もう相談の80%は終わってる。でしょ？」
「そうかも……」
「なんにも話してないけど俺は、ダメかもしんないけど頑張ってみる、って答えは出てる」
「うんうん」
「だから、……ありがと」
「うん、がんばれ！」
私がそう言ったら、二宮くんが、ふはと笑った。
「無責任なやつ」
「え！」
「いや、お前の頭の中想像したらおっかしくて、や、ごめん」
二宮くんがくすくす笑ってる。
「え？」
「どうすんの、この子。俺にどうなってほしいの！」
「え？彼女になりたいんだよね？」
「彼女ってことは、俺は女ってことなのね？なるほどね。そうなったらまぁ後悔しないように頑張るよとしか言えないよね」
「うん……そっか、結婚とか……無理だよね……」
「そうね」
二宮くんがずっとクスクス笑ってる。
「俺は女の子ね、だから女友達なのね、なるほどなるほど」
「ん？」
「色々わかってきた」
二宮くんが私を見てずっと笑ってる。
「何かおかしい？」
「別に」
「二宮くんはスカート履きたいとかは思わないの？」
「んー……Aの借りてもいい？」
「いいよ？」
「ほんと？どんなのあるの？」
「仕事では着ないようなフリフリのもお母さんの趣味で置いてあるよ！」
「ほんと？Aんちにお邪魔しちゃおっかなー」
「いいよ？おいでよ！」
「でもお母さんに、俺のこと彼氏って勘違いされない？」
「そっか」
「ぶ」
二宮くんが横向いてちょっと笑ってる。
なんか変。
「お友達は家まで来ないもんね？」
「じゃ、俺がAのことを気に入ってて、猛烈にアタックしてる、ってのはどう？」
「何その設定ー、気持ちわるいよ」
「気持ち悪いんだ」
二宮くんが笑いを引っ込めた。
何故か、ドキッとした。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月17日 4時
