義兄ですが、なにか？3【Ｎ】完結 (ページ41)

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ひとしきり談笑して、お昼は寿司でも注文するか、とかいう流れになった。
これでお酒なんか入ったらもっと長くなる。

「ご飯は外にしない？」
そういった瞬間、玄関から、『ただいま』って声がして飛び上がった。

「ん？」
不思議そうにする川淵さんとおじさん。

お父さんが、はああ、ってため息をはいて、おばさんが慌てて立ち上がる。

そのとき。
リビングのドアを足でダアアアン！と開けて、不良少年のような態度のおにいちゃんが登場した。

「ただいま。ほら、おかえりは？」

全員が固まる。

「おかえり……？」

思わずそう言った川淵さんに一瞬吹きだした。
笑った私を見ておにいちゃんが、カバンをダン！ってテーブルの上に置いた。

「……え？こちらは、どちらさん？」
おじさんが私に聞く。
「あ、」

「義兄ですが、何か？」
「ぎけい……」
「義理の兄！義兄！」

あれ？このやり取り前も見た。デジャブかしら。

「おにいちゃん！おじさんに失礼だよ！私の親戚なんだから」

「Aは黙ってなさい！で？この俺を差し置いて何やってんの！妹は嫁にはやらん！」
「……」
「おとといきやがれ、てやんでえ」

おにいちゃん何を言ってるの。

「ちょっと待て」
お父さんがとうとう吹きだした。

「Aはあげないよ、申し訳ありませんが帰れ！玄関はあちら！」
おにいちゃんが椅子に座って、にっこり微笑んだ。

「なんで義理の兄なんかに」
おじさんがそうつぶやいたら、おにいちゃんが突然かみついた。

「親戚のおじさんなんかよりはよっぽど近いでしょうが」
「……」
「言っとくけどねえ、Aの兄にならざるを得なくなった高３の春からずっと！Aを嫁にくれってくる奴、全！員！追っ払うのが夢だった」
「はあ……」
「兄でよかったあ、って今初めて思えました、ありがとうそこの君」

戸惑う二人。当たり前だ。何だこの人。

「いや、でも……」

川淵さんが私を見た。助けてって顔。おじさんもだ。
お父さんはずっと笑いをこらえていて役に立ちそうもない。

でも、こうなったら私はこう言うしかないよね。

「兄がそう言ってますので、この話はなかった、ということで」

私が平然とそう言ったら、全員が、ひいいいって感じで息を吸い込んだ。

「俺は！Aちゃんの会社の取引先のものだぞ！なのにいいのか」
おじさんが信じられないくらい最低なことを言った。

「いいですよ、Aは仕事やめますから」

おにいちゃんが平然とそう言った。